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商品が売れないのではない。『売れる考え方』になっていないだけ | バイヤー・店長が見直すべき「売上を生み出す視点」

2026.06.04

売れないとき、つい商品や価格、品揃えのせいにしていないでしょうか。しかし売上を生むのは商品ではなく、お客様の行動です。本コラムでは、バイヤーや店長が「商品発想」から「行動発想」へ考え方を変え、同じ商品でも売れ方を変えるための視点を解説します。

「商品が売る」と考えるか、「お客様の行動が売上を生む」と考えるのか

売上が伸びないとき、多くの現場では次のような話になりがちです。「この商品は売れない」「価格が高い」「競合のほうが安い」「品揃えが弱い」「もっと売れる商品を入れてほしい」もちろん、それらが原因になることもあります。

しかし、ここで一度立ち止まって考える必要があります。

本当に商品が悪いのでしょうか。本当に価格だけが原因なのでしょうか。本当に品揃えを変えれば売上は上がるのでしょうか。現場で最初に確認すべきことは、別にあります。

それは、その商品の価値が、お客様に伝わっているかということです。

商品は、売場に並べただけでは売れません。

お客様が、その商品に気づき、価値を感じ、自分の生活に必要だと思い、買うという行動を起こして初めて売上になります。

つまり、売上は商品が自動的に生み出すものではありません。

売上は、お客様の行動が生み出しているのです。

この考え方に立てるかどうかで、売場のつくり方も、POPの言葉も、陳列の工夫も、売れ方も変わります。

考え方が変わると、売場の見方が変わる

「売上は商品が生む」と考えていると、売れない理由は商品に向かいます。

商品が悪い。価格が悪い。本部の仕入れが悪い。競合が強い。この考え方になると、現場でできる工夫が少なくなります。

売れない理由を外部に求めやすくなり、売場改善の行動が止まってしまいます。

一方で、「売上はお客様の行動が生み出している」と考えると、見るべきポイントが変わります。

  • お客様はその商品に気づいているか
  • 立ち止まって見ているか
  • POPの言葉は伝わっているか
  • 買う理由が売場で表現されているか
  • 関連商品と組み合わせて提案できているか
  • 今買う必要性が伝わっているか

このように、売場を見る目が変わります。すると、改善の打ち手も変わります。

  • 陳列場所を変える
  • 平台の展開量を変える
  • POPの言葉を変える
  • メニュー提案を加える
  • 関連販売を組み合わせる
  • 重点商品の見せ方を変える
  • 声かけの内容を変える

商品を変えなくても、考え方を変えることで、売場の打ち手は増えていきます。

バイヤーに必要なのは「売れる商品探し」だけではない

バイヤーの仕事は、売れる商品を探すことだけではありません。

これからのバイヤーに必要なのは、仕入れた商品を、現場でどう売れる状態にするかまで考える力です。

どれだけ良い商品を仕入れても、店頭で価値が伝わらなければ動きません。

たとえば、こだわりの調味料を仕入れたとします。しかし、ただ棚に並べただけでは、お客様はその違いに気づきません。「いつ使うのか」「どんな料理に合うのか」「普通の商品と何が違うのか」「少し高くても買う理由は何か」

これを売場で伝えなければ、価格だけで比較されてしまいます。

バイヤーが考えるべきことは、商品選定だけではありません。

この商品は、どの売場で最も価値が伝わるのか。どの商品と一緒に売れば買いやすいのか。どんなPOPならお客様が立ち止まるのか。どの客層に、どの生活場面で提案するのか。店長やチーフに、どのような売り方を伝えるのか。

ここまで考えて初めて、商品は「売れる商品」になります。商品そのものが売れるのではなく、売れる状態に設計された商品が売れるのです。

店長に必要なのは「並べる管理」ではなく「買う理由づくり」

店長にとっても大切なのは、商品をただ並べることではありません。

本部から商品が入ってくる。チラシ商品が決まる。重点商品が指定される。そこで、指示通りに売場をつくるだけで終わっていないでしょうか。

店長が見るべきなのは、お客様が買う理由を売場でつくれているかです。

たとえば、青果売場でトマトを販売する場合でも、考え方によって売場は変わります。「トマトを売る」と考える店は、トマトを積みます。しかし、「お客様に今夜の食卓を提案する」と考える店は、サラダ、冷やしトマト、カプレーゼ、夏の簡単メニューとして提案します。

精肉売場で豚ロースを販売する場合も同じです。「豚ロースを売る」と考える店は、商品を並べて価格を出します。しかし、「家族が喜ぶ夕食メニューを提案する」と考える店は、ロースかつ、しょうが焼き、下味冷凍、時短メニューとして価値を伝えます。

考え方が変わると、売場の表現が変わります。売場の表現が変わると、お客様の反応が変わります。お客様の反応が変わると、売上が変わります。

会議で「お客様」という言葉が出ているか

スーパーマーケットの会議では、商品名、売上金額、前年比、荒利益率、ロス率、在庫、価格の話が多く出ます。

これらはもちろん重要です。しかし、会議の中で、「お客様」という言葉がどれだけ出ているでしょうか。

売上が悪いときに、「なぜお客様は立ち止まらなかったのか」「なぜ手に取らなかったのか」「なぜ買う理由が伝わらなかったのか」「どの生活場面に提案できていなかったのか」という話ができているでしょうか。

数字は結果です。商品は手段です。売場は表現です。そして、売上を生み出すのは、お客様の行動です。

この順番を間違えると、改善の打ち手も間違ってしまいます。

売上改善は「商品発想」から「行動発想」へ

これからのスーパーマーケット経営に必要なのは、商品発想から行動発想への転換です。

商品発想とは、「何を売るか」から考えることです。

行動発想とは、「お客様にどう行動してもらうか」から考えることです。

  • 何に気づいてもらうのか
  • どこで立ち止まってもらうのか
  • 何を見て価値を感じてもらうのか
  • どの商品と比較してもらうのか
  • どんな食卓を想像してもらうのか
  • どう納得して買ってもらうのか

この発想がある店は、同じ商品でも売り方が変わります。そして、同じ商品でも売れ方が変わります。

まとめ:売れ方を変えるのは、考え方である

売上が伸びないとき、商品や価格のせいにするのは簡単です。

しかし、そこで考え方を変えられるかどうかが、バイヤーと店長の力の差になります。

商品が売れないのではありません。「価値が伝わっていない」のかもしれません。「買う理由が売場にない」のかもしれません。「お客様の行動を設計できていない」のかもしれません。

売上は、商品が自動的に生み出すものではありません。売上は、お客様の行動が生み出します。

そして、その行動を生み出すのは、売場をつくる人の考え方です。

バイヤーは、商品を仕入れる人ではなく、売れる状態を設計する人。

店長は、商品を並べる人ではなく、お客様が買いたくなる売場をつくる人。この考え方に変わったとき、同じ商品でも売れ方は変わります。

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