スーパーの業務改善入門

2014年07月02日

売上は連続前年割れ、『営業利益は、7.89倍』の業務改善事例(3)

人とチームの戦力確認


とは言え、Aストアの売場は、単なる安売りではなく、質の高い商品やサービスを提供しようという思いが感じられる売場です。

田舎町のスーパーマーケットにしては、加工食品などは、NB以外の味や原料にこだわったような、面白い商品も販売されています。
でも、先述したように、鮮度やお客様への気遣いなど、売場の現状と何かが噛み合っていません。


その一番の原因は、人でした。

私は、コンサルティングスタート時の最初の頃は、現場に朝7時前後に入ります。
それは、従業員の方々が始業時間から、どの様な作業をしているかの確認と、一人ひとりの方と出来るだけ挨拶をして話をします。
現場の人とコミュニケーションをはかり、仕事に対する思いなどを聞き出すためです。


話好きな人もいれば、シャイで引っ込み思案の人もいます。様々です。
しかし、何回か会話を重ねるごとに、色々なことが確認できるようになります。

特には、会社の事、仕事の事、上司の事など、人と人の関係は重要なことです。
Aストアにおいて総じて言えることは、各部門のリーダーがリーダーシップを取れていないということです。
チーフの愚痴をこぼす人。また逆に、自分の部下が、「仕事が出来ない」と、愚痴をこぼすチーフ。はたまた、会社の愚痴をこぼす人という様に、全体として、会社内のコミュニケーションが取れていません。
要するに、信頼関係が構築されていないということです。
これでは、売場づくりも上手くいくはずが有りません。生産性など望めるはずもありません。


会社に思いはあります。
しかし、現場には、ほとんどそれが伝わっていません。
ある意味、ここが一番の問題であると言っていいと思います。



なぜ、ここまで踏み込むのか


私の業務改善のコンサルティングは、クライアントの営業利益を拡大することを目的にしています。
出来れば、2倍、3倍、4倍を狙います。
そのためには、小手先のコンサルティングでは、結果は出ません。(極一部の会社を除いて)

考え方、お客様、人など、関わるのは人です。そして、経営者と従業員、従業員同士、従業員とお客様。人と人の関わりで結果は出てきます。
ですから、良くも悪くも今出ている結果と、それを引き出しているプロセスの部分を出来るだけ正しく理解しておく必要があります。

そして、良い結果を出すための仕組みづくりが必要です。

仕事が上手くいっていない。結果が上手く出ない。というのは、良い結果を出せる様な仕組みが、会社に構築できていないということです。

短期ではなく、中長期の結果を出すための仕組みづくり。簡単ではありません。
しかし、そのために必要なプロセスを確実に踏んで頂ければ、間違いなく大きな成果に繋がります。ここばかりは、手抜きが出来ません。



経営層もコミュニケーション不足


中小零細のスーパーマーケット企業の殆どは、同族経営でしょう。

Aストアも例外ではありません。社長と経理担当の奥様、営業の責任者の専務、総務担当の専務の奥様。そして、管理見習いの専務の妹さんです。

仲の良い親子、悪い親子。私のクライアントでも様々です。
しかし、Aストアの親子は、仲の良い親子です。

ところが、仕事の事となると、コミュニケーションが良いとは、冗談にも言えません。
私は、訪問する回数を重ねるごとに、ハッキリと感じ取れるようになりました。

経営者同士がそうなのですから、現場の従業員同士のコミュニケーションが上手くいくわけが有りません。

現場で良くある「社長と専務のどっちの言うことを聞いた良いの?」状態が頻繁に起こります。
賢い社員は、内容によって、社長と専務を使い分けします。
益々、関係は複雑になってしまいます。全く無駄な時間とエネルギーです。

この様な状態で、チームが強くなれることは、まずありません。



狙いたいのは、相乗効果


スーパーマーケットのオペレーションは、小売業の業態の中でも、特出して複雑なものです。

商品を売場に陳列演出するだけではなく、生鮮品などの商品化のための加工作業や、管理温度帯の違う数多くの商品の在庫管理。また、そのための多くの人員の確保と管理など。
当然のことながら、多くの人時を必要とします。このことが、高い人件費(売上比10%前後)となってしまいます。

この様なことから、人に関する生産性は、スーパーマーケットの運営管理上の重要な課題となります。
Aストアは、この肝心の部分に大きな問題を抱えてしまっています。


相乗効果というのは、10人が力を合わせ、12人分、15人分と全体の生産性を上げるというイメージです。一人ひとりの力は弱くても、全員がまとまれば強いチーム力となります。
この時のAマートは、10人の人員がいるのに、8人分かそれ以下の生産性しか上げられない状態でした。

これでは、何かをやろうとしても、事はうまく運びません。たまに上手くいっても、継続することは出来ません。


これらのことは、基本的に会社の責任です。
会社の理念、最終ゴール、目標、ルール、
そして、仕事に対する考え方、仕事の仕方など、従業員に対して教育(共有)が出来ていないことに原因があります。

中小零細の多くの会社で、この問題を抱えています。
そして、このことに気付いていない、会社があまりにも多く存在することも事実です。



まずは、コミュニケーション力をあげること


難しいことではありません。
1.とにかく、従業員と話をする(聞く)こと
2.各売場のリーダーとミーティングを定時定例的に行う
3.経営層同士のミーティングを   〃

1は、専務と私が現場に出て、現場確認と課題確認。その場で各担当者と話をして、課題の改善に向けて、方向性を確認することです。そして、その時々で、ノウハウを伝授しフォローを繰り返します。

2は、2~3時間程度の時間を各週で設定して、行います。
現状課題と改善作業。その優先順位付け。改善活動の進捗状況報告。それに対しての問題点など、大小様々なことについて、話し合いをします。そして知識教育です。

3.については、回を重ねるごとに、その内容は重さを増しています。私と各役員が一対一の場合と、一対二、一対三、そして、全体で行う場合とが有ります。


この様に、現場を中心に、色んな場面設定を行い、コミュニケーションを深めます。
人と人のわだかまりを減らしていって、つながりを少しずつ深くしていきます。



次回からは、より具体的な改善活動をご紹介します。


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■会議の生産性アップで、スーパーマーケットが変わる! (前編) ⇒www.summit-rc.com/case/2714/
■会議の生産性アップで、スーパーマーケットが変わる! (中編) ⇒www.summit-rc.com/case/2724/
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