経営のヒント
2026年01月13日
スーパーマーケットの利益改善:安売り競争から脱却し、客離れせずに「値上げ」する価格設定の極意
スーパーマーケットの利益改善の鍵は「適正な値上げ」にあります。
多くのバイヤーや店長が陥る「安売り競争」の罠と、そこから脱却するための価格設定の考え方、粗利を確保する具体的な手法について、専門コンサルタントが解説します。
多くのスーパーに存在する「安すぎる商品」の正体
多くのスーパーマーケットの売場には、必ず「安すぎる商品」が存在します。
これは戦略的な特売品のことではありません。
「本来もっと高く売れるはずなのに、安く売ってしまっている商品」のことです。
利益改善を目指す上で、なぜこのような現象が起きるのでしょうか?
その理由は、驚くほど単純です。
担当バイヤーや店長が、価格設定に対して「臆病」になっているからです。
競合店のチラシ価格と「客離れ」の恐怖
「競合店がキャベツ98円のチラシを出してきた」
「近隣の相場より高いと、お客様が離れてしまう」
「業界的にこの価格帯でないと売れない」
バイヤーや店長は、常に競合店の動向や相場を気にし、
「客数が減ること」に怯えています。
しかし、経営の視点で冷静に計算してみたことがあるでしょうか?
仮に売価を10%値上げして、販売点数が5%減ったとします。
スーパーマーケットのような薄利多売のビジネスモデルであっても、シミュレーションを行えば、多くの場合トータルの粗利益額は増えるのです。
それにもかかわらず、多くの現場では「数学(利益計算)」ではなく、「感情(恐怖)」で売価を決めてしまっています。
お客様は「安さ」だけでスーパーを選んでいない
「ウチの商圏のお客さんは、安くないと買わない」 そう思い込んでいませんか?
厳しい現実ですが、価格だけで店や商品を選ぶ層は、全体の15%にも満たないと言われています。
しかもその15%は、特売品だけを購入する層であり、店舗の利益に貢献する「優良顧客」ではない可能性が高いのです。
残りの85%のお客様は、説得力のある理由さえあれば、高いほうの商品を喜んで手に取ります。
彼らが安いほうを選ぶのは、単に「高い商品と安い商品の違いがわからない」から、失敗しないように安いほうを選んでいるだけなのです。
利益改善の鍵は「価格」ではなく「価値の伝達」
つまり、問題の本質は価格設定そのものではありません。
商品の価値を「説明(プレゼンテーション)」できていないことです。
- その青果がどれだけこだわって作られたか、コトPOPで伝えていますか?
- その精肉がどんな料理に合うのか、メニュー提案をしていますか?
- 高い商品を買うことが、お客様にとってどんな「メリット」になるのか、基準を示せていますか?
売価を上げられないのは、商品力がないからではありません。
その価格を支えるための「売場での情報発信」が設計されていないだけなのです。
ライバル店を見るな、自店の「価値」を見よ
私はいつもスーパーマーケットのコンサルティング現場で申し上げています。
「ライバル店の価格調査ばかりしてはいけない」と。
多くの場合、ライバル店もまたマーケティングや価値伝達においては未熟で、ただ安売りに走っているだけだからです。
売価を適正に戻し、確実に利益改善を図る方法は2つあります。
1. 松竹梅の法則を使う(ラインナップ設計)
「安くて普通の品」だけでなく、「高くて良い品」をあえて並べて選ばせることです。
もし多くのお客様が高いほうを選ぶなら、それがその店にとっての「適正価格」です。
2. 価値を伝えて堂々と売る
POPや接客、試食販売を通して、その商品のストーリーを伝えることです。
「この品質なら、この価格はむしろ安い」とお客様が納得すれば、競合店より高くても商品は必ず動きます。
価格設定とは、勇気の問題ではありません。 「設計」と「数学」の問題です。
自店の商品の価値を正しく理解し、その違いをお客様に語ることができれば、価格は自然と上げられます。
安売り競争から抜け出せないのは、市場や競合のせいではありません。
あなた自身の「選択」なのです。
2026年01月07日
時間を制する者が経営を制する
― スーパーマーケット業務改善の現場原則 ―
忙しいのに成果が出ないスーパーマーケット経営。
その原因は人手不足ではなく「時間」の使い方にある。
業務改善コンサル新谷が、現場で結果を出し続けてきた時間活用と業績改善の原則を解説します。
「人が足りない」
「毎日忙しいのに、利益が残らない」
「業務改善に取り組みたいが、時間がない」
これは、私がスーパーマーケットの社長・幹部・店長の方々から、最も多く聞く言葉です。
しかし、25年にわたり数多くの現場を見てきた業務改善コンサルタントとして、はっきり言えることがあります。
経営が苦しい本当の原因は、人手不足ではありません。
「時間の使い方」が、経営を縛っているのです。
スーパーマーケット経営における最大の資産とは何か
経営資産といえば、一般的に
「ヒト・モノ・カネ・情報」と言われます。
もちろん、どれも重要です。
しかし、これらすべてを活かすために、必ず必要なものがあります。
それが“時間”です。
人を育てるにも時間が要る。
売場を変えるにも時間が要る。
仕組みをつくるにも、改善を定着させるにも時間が要る。
時間だけは、
すべての経営者・すべての店舗に、平等に与えられている唯一の資産です。
にもかかわらず、多くの現場では、
時間が「経営資産」として扱われていません。
忙しさに流され、
その日を回すことが優先され、
結果として、未来につながる仕事が後回しになります。
この積み重ねが、
「忙しいのに成果が出ない経営」を生み出しているのです。
業務改善の出発点は「時間の正体」を知ること
私は、業務改善の第一歩として、
すべての仕事を二つに分けて考えることを勧めています。
単純作業
・特別な判断や高度なスキルを必要としない
・比較的短期間で誰でも覚えられる
・価値は「早く・正確に終わらせる」こと
付加価値業務
・売上、粗利益、生産性向上につながる
・売場づくり、人材育成、仕組み化、戦略設計
・価値は「成果を生み出す」こと
多くのスーパーマーケットでは、
単純作業に時間を奪われ、付加価値業務が後回しになっています。
これでは、
どれだけ人が頑張っても、
経営は楽になりません。
成果を出す店舗は、時間の使い方が根本的に違う
業績を伸ばしている店舗に共通しているのは、
「忙しさ」を前提に経営していないことです。
彼らは必ず、単純作業に対して
次の問いを投げかけています。
- この作業は無くせないか
- 減らせないか
- 止められないか
この視点で見直すだけで、
1日10分、20分、場合によっては1〜2時間の時間は確実に生まれます。
そして、その時間を
売上・利益・人材育成につながる仕事に再配分する。
これが、私が現場で結果を出し続けてきた
業務改善の基本原則です。
時間が変わると、経営の数字は確実に変わる
仮に、1日1時間の時間を創出できたとします。
月に20〜30時間。
半年で約150時間。
1年で300時間以上。
この時間を、
売場改善、数値管理、教育、仕組みづくりに使った店舗と、
「忙しい」で終わった店舗。
1年後、同じ結果になるはずがありません。
私は現場で、
この差が売上、粗利益、スタッフ定着率として
はっきり表れる瞬間を、何度も見てきました。
忙しい経営者ほど、最初の一歩は小さくていい
業務改善というと、
大きな改革や特別な施策をイメージされがちですが、必要ありません。
まずは、
「必要だと分かっていながら、手をつけてこなかったこと」を一つだけ。
時間を決めて、実行してください。
行動を起こすことで、
課題が見え、
改善の優先順位が整理され、
周囲の協力も得られるようになります。
改善は、必ず連鎖します。
時間を制する者が、スーパーマーケット経営を制する
業務改善とは、
効率化やコスト削減の話ではありません。
時間という経営資産を、どう再設計するか。
これこそが、
人手不足時代のスーパーマーケット経営における
最重要テーマです。
もし今、
忙しさから抜け出せず、
将来に不安を感じているなら、
見直すべきは「人」でも「能力」でもありません。
時間の使い方です。
時間が変われば、
経営の景色は必ず変わります。
それが、
私が現場で結果を出し続けてきた、業務改善の結論です。
もし今、
「何から手をつければ良いのか分からない」
「忙しさに追われ、改善の整理ができていない」
そう感じておられるなら、一度立ち止まり、時間の使い方を客観的に見直してみてください。
私はこれまで、スーパーマーケットの現場に入り、
売場・業務・人の動きを整理し、
時間を成果に変える仕組みづくりを支援してきました。
特別な理論ではなく、
今ある人・時間・売場を活かし切ること。
それだけで、経営の景色は確実に変わります。
現在、スーパーマーケットの社長・幹部・店長の方を対象に、
業務改善・時間活用に関する無料相談を行っています。
「相談するほどでもない」
その違和感こそが、改善の入り口です。
今の状況を整理するだけでも、
次に取るべき一手が見えてきます。
ご興味があれば、お気軽にご相談ください。お問い合わせ
2026年01月05日
【スーパーマーケット経営】現場で起こす「イノベーション」とは? ドラッカーに学ぶ利益と生産性の改善策
「売上が伸びない」「人手不足で現場が回らない」……。
日々、こうした課題に直面しているスーパーマーケットの経営者様、店長様へ。
経営学の父、ピーター・ドラッカーはこう言いました。「ビジネスの目的は顧客の創造」であり、その機能は「マーケティング」と「イノベーション」だけである、と。
本コラムでは、DXやAIといった大掛かりな設備投資ではなく、明日の現場からすぐに始められる「スーパーマーケットにおける真のイノベーション」について解説します。
1. スーパーマーケットにおける「イノベーション」の正体
「イノベーション」と聞くと、最新のAI導入や大規模なDX(デジタルトランスフォーメーション)を想像されるかもしれません。しかし、スーパーマーケット経営において最も重要なイノベーションの本質は、もっと身近なところにあります。
それは、「顧客にとっての新しい価値」を提供することです。
- 選びやすい売場を作る
- 価格と提案を分かりやすくする
- 作業の無駄を減らし、接客の時間を増やす
- 「また来たい」と思える買い物体験を作る
これらはすべて、現場から生まれる立派なイノベーションです。
日々の業務に追われ、マーケティングや改善から目を背けてしまっては、厳しい価格競争や人手不足を乗り越えることはできません。
2. 明日の売場を変える「3つの魔法の質問」
では、具体的に現場で何をすればいいのでしょうか。私が現場の皆様に最もおすすめしているのは、
「毎日、自分自身に問いかける質問を持つこと」です。
日々のルーチンワークの中で、ぜひ次の3つを自問自答してみてください。
① 生産性の視点
「今やっているこの作業、もっと人時(にんじ)をかけずに効果的にできる方法はないか?」
② 利益の視点
「今の売り方よりも、もっとお客様に喜ばれ、かつ粗利が残る方法はないか?」
③ 価値の視点
「この商品を使って、お客様の食卓に、もっと大きな満足(価値)を提供できないか?」
つまり、
「もしも、今のやり方以外に、別の正解があるとしたら?」と問い続けるのです。
この姿勢こそが、売場改善、作業改善、そして利益改善の起点になります。
3. 「コンフォートゾーン」の外に出よう
改善の「答え」を探す時、競合店のチラシや売場ばかりを見ていませんか?
そこにあるのは「皆が知っている答え」、つまり「同質化」だけです。
本当に効果のあるイノベーションの多くは、スーパーマーケット業界の「外」にヒントがあります。
- 製造業に学ぶ「標準化」
- 外食産業に学ぶ「オペレーション設計」
- 物流業界に学ぶ「動線改善」
- サービス業に学ぶ「顧客体験づくり」
「いつもの売場」
「いつものやり方」
というコンフォートゾーン(快適な領域)から一歩外に出て、
「他業界ではどうやっているんだろう?」
と冒険するような感覚で周囲を見渡してみてください。
自分たちの「当たり前」を疑い、他業界の仕組みをスーパーマーケットの現場へ「翻訳」して取り入れる。
これこそが、生産性や利益を劇的に改善させる鍵となります。
4. 視点を変えれば、現場は必ず良くなる
イノベーションは、特別な才能を持つ人だけのものではありません。
役職や立場に関係なく、
「もっと良くできるはずだ」
という日々の問いと改善の積み重ねから、静かに、しかし確実に生まれてくるものです。
もし現在、
「自分たちのやり方が正しいのか分からない」
「何から手を付ければいいのか整理がつかない」
とお悩みであれば、一度立ち止まって現場を言語化してみることをおすすめします。
売上や粗利益が伸び悩む原因は、能力不足や努力不足ではありません。
多くの場合、「視点」と「順番」が整理されていないだけなのです。
サミットリテイリングセンターでは、現在の売場・オペレーション・考え方を一緒に整理し、「どこから手を付ければ成果につながるのか」を明確にする無料相談を行っています。
無理な提案や売り込みは行いません。まずは、今の現場を客観的に見直す機会として、お気軽にご活用ください。
2025年12月31日
スーパーマーケット経営は社長の判断で決まる
――基準を下げた瞬間から、会社は静かに崩れ始める
会社の数字は、突然悪化するわけではありません。
売場も人も、社長の判断に従って、静かに変化していきます。
基準を下げた瞬間から、経営は音を立てずに崩れ始める。
これは、環境論でもノウハウ論でもない、経営者自身の判断に向き合うためのコラムです。
「以前なら、こうは判断しなかった」
そう感じたことはありませんか。
売上でも、
人でも、
環境でもない。
会社が伸び悩むとき、必ず起きているのは社長自身の“判断基準の変化”です。
このコラムは、成功事例も、派手な戦略も語りません。
ただ、会社はなぜ静かに弱くなり、
それでも、なぜまだ変えられるのか・・・。
その答えを、社長自身の判断という一点から静かに掘り下げていきます。
会社の数字は、突然悪化するわけではありません。
売上も、粗利益も、人の動きも、
少しずつ、静かに変わっていきます。
多くの場合、その変化は外からは見えません。
しかし、社長自身は気づいているはずです。
「以前なら、こうは判断しなかった」
「どこかで、基準を下げた」
その感覚を。
経営が厳しくなったとき、人は理由を探します。
市場環境。
人手不足。
物価高。
競争激化。
どれも事実です。
否定する必要はありません。
ただし、それらは“説明”にはなっても、“答え”にはなりません。
成果を出し続けている会社は、
環境が良かったから伸びたわけではありません。
環境が厳しくなったとき、社長が判断を緩めなかった。
ただ、それだけです。
利益を出している会社の社長は、
特別な戦略を持っているわけではありません。
派手な改革も、劇的な一手も、ほとんど打っていません。
彼らがやっているのは、ごく当たり前のことです。
・数字を見る。
・現場を見る。
・人を見る。
そして、
・基準を下げない。
・やらないことを決め、
・例外をつくらず、
・曖昧なままにしない。
その積み重ねが、会社の形になります。
会社が伸び悩んでいるとき、現場に原因を求めるのは簡単です。
しかし、現場は社長の意思決定以上に、賢くはなれません。
・売場の甘さも、
・幹部の迷いも、
・社員の遠慮も、
すべて、社長の判断の影です。
「もう少し様子を見よう」
「今回は仕方がない」
「人がいないから」
その一言一言が、会社の基準を、静かに下げていきます。
社長が基準を下げた瞬間、組織は必ず察知します。
言葉にしなくても、数字にしなくても、空気は伝わります。
逆も同じです。
社長が基準を上げたとき、組織は時間差で応え始めます。
すぐに結果は出ません。
むしろ、一時的に数字は悪くなるかもしれません。
それでも、社長が判断を変えなければ、組織は必ず追いついてきます。
会社は、社長の覚悟以上には成長しません。
これは制約であり、同時に、最大の可能性でもあります。
誰かが会社を変えてくれることはありません。
変えられるのは、今日の判断を下す、社長だけです。
・何を許し、
・何を許さず、
・何を当たり前にするのか。
その選択が、半年後、一年後の会社をつくります。
経営とは、派手な決断ではありません。
小さな判断を、正しい基準で積み重ねることです。
その基準を守り続けられるかどうか。
それが、社長としての、最も静かで、最も重い仕事です。
■ そして、未来について
ここまで読んで、重く感じたかもしれません。
しかし、一つだけ、はっきり言えることがあります。
会社は、まだ変えられます。
なぜなら、判断はこれからも、社長の手の中にあるからです。
過去の意思決定は変えられません。
しかし、次の判断は、今ここから変えられます。
・基準を一段戻す。
・曖昧にしてきたことを決め直す。
・当たり前を、当たり前として徹底する。
それだけで、会社の空気は確実に変わります。
・劇的な変化は起きません。
・拍手もありません。
・評価もすぐには得られません。
それでも、数字と現場は、必ず反応します。
未来とは、突然訪れるものではありません。
今日の判断が、時間差で姿を変えただけのものです。
社長が基準を取り戻せば、会社は必ず応えます。
これは、私がコンサルティングの多くの現場で、何度も確認してきた事実です。
■ 経営とは、未来に対する責任である
経営とは、会社を存続させることではありません。
現状を守ることでも、数字をつくることでもない。
経営とは、「未来に、どんな判断を残すか」
その責任を引き受ける仕事です。
経営は孤独です。
正解はなく、誰も代わりに決断してくれません。
それでも、判断を引き受け続けた社長だけが、会社を次の段階へ連れていきます。
会社は、社長の覚悟に対して、必ず時間差で応えます。
経営とは、派手な成功談ではなく、
静かな判断の積み重ねです。
その積み重ねが、
・社員の未来をつくり、
・地域を支え、
・次の世代に残る会社を形づくります。
■ 判断は、これからも続いていく
分かっていることを、最後までやり切る覚悟を、持ち続けること。
それが、経営で最も難しいことです。
迷いは、真剣に経営している証です。
大切なのは、迷いながらも、基準を手放さないこと。
経営とは、未来から静かに評価される仕事です。
会社の未来は、これからも、社長の判断の中にあります。
その事実は、重く、同時に、希望でもあります。
■ 判断のそばに、いつも現場があった
このコラムで書いてきたことは、私自身ができなかったことの記録でもあります。
・判断を先送りし、
・基準を曖昧にし、
・結果として後悔した経験も、
少なくありません。
多くの社長と向き合う中で、一つ確信していることがあります。
悩んでいる社長ほど、真剣です。
迷い続け、考え続ける限り、経営には可能性があります。
このコラムが、あなたの次の判断を少し前向きなものにするきっかけになれば、それ以上のことはありません。
新谷 千里(しんがい・ちさと)
スーパーマーケットを中心に、小売・流通業の現場改善と経営支援に携わるコンサルタント。
派手な戦略よりも、
「判断と基準が現場をどう変えるか」という一点を軸に、
結果を変える「仕事の仕方」を教える活動をしている。
現場と経営のあいだに立ち、社長が自分の判断と向き合うための言葉と問いを提示し続けている。
新谷の“我が使命”は、
「より良い方法を教えて、人々の人生を豊かにする」ことです。
2025年12月15日
『良い商品』だけでは売れない⁉
売り手の「思考停止」から脱する実践的マーケティングとは?
良い商品を揃えているのに売れない――その原因は売り手の思考停止にあります。価格競争から抜け出し、“選ばれる売場をつくる”ための『実践的マーケティング・思考』を解説します。
良い商品を揃えています。
価格も極端に高くありません。
売場も、それなりに整えています。
それでも、なぜあなたの売場は
「また来たい店」ではなく
「どこでもいい店」になっているのでしょうか。
もしこの問いに即答できないとしたら、
問題は商品ではありません。
売り手の思考そのものにあります。
良い商品=売れる、という思い込みが売場を止めている
スーパーマーケットの現場では、
「良い商品を扱っているのに売れない」という声が多く聞かれます。
しかし、この現象を
「景気が悪いから」「価格競争が厳しいから」で片づけた瞬間、
売り手の思考は静かに止まり始めます。
鮮度が良いこと。
品質が高いこと。
原価が高騰していること。
これらは重要ですが、
今ではできていて当たり前の前提条件です。
多くの売場が同じ水準に達した結果、
お客様の目には
・似た商品
・似た価格
・似た売り方
としか、映らなくなっています。
そのとき、
最後に残る判断基準は「価格」だけです。
お客は商品ではなく「未来」を見ている
お客様は売場で商品を見ているようで、
実は商品そのものを見ているだけではありません。
見ているのは、
・今日の夕ご飯がどうなるか
・この買い物の先で家事や食卓がどう回るか
・失敗せずに一日を終えられるか
つまり、
この買い物がもたらす自分の未来です。
にもかかわらず、
売場が伝えているのは
産地、規格、価格、スペックばかりです。
この焦点のズレこそが、
「良い商品なのに売れない」最大の原因です。
◇事例①|青果売場(トマト)
売れているが、指名されない状態からの脱却
【Before】
売価は198円です。
月間販売数量は420パックです。
リピート購入率は28%です。
POPには「○○産」「高糖度」「鮮度抜群」と書かれていました。
品質は高く、一定数は売れていましたが、
毎週必ず買われる商品ではありませんでした。
【After】
価格も商品も変えず、POPにコメント(キャッチコピー)を追加しました。
「切るだけで、
美味しいサラダが出来上がり。
夕食の段取りが簡単です」
【結果】
期間の販売数量は420パックから560パック(+33%)に増えました。
リピート購入率は28%から46%に上がりました。
売れた理由は甘さではありません。
“楽になる未来”が伝わったからです。
「お客様目線」という言葉が、思考停止を生む
「お客様目線で考えよう」
この言葉は正しそうに聞こえますが、
現場では思考を止める言葉になりがちです。
・価格は高くないか
・欠品していないか
・売場はきれいか
これらは目線ではありません。
単なるチェック項目です。
今、売り手に必要なのは
もっと本質的な問いです。
売り手が本当に考えるべき問い
あなたの売場は、
誰の、
どんな未来を、
どう変える存在になるのでしょうか。
この問いに答えられない売場は、
どれだけ努力しても価格競争から抜け出せません。
そして、この問いは
現場任せにできるものではありません。
売り手自身が
明確な言葉として持つ必要があります。
◇事例②|惣菜売場(唐揚げ)
「たまに買う惣菜」から「平日の定番」へ
【Before】
売価は398円です。
平日平均販売数は32パックです。
POPには「店内仕込み」「自慢の味」と書かれていました。
味の評価は高いものの、
平日にはあまり選ばれていませんでした。
【After】
POPに次のようなコメント(キャッチコピー)を追加しました。
「今日は考えなくていい。
温めるだけで、家族が大喜びです!」
【結果】
平日販売数は、平均32パックから47パック(+47%)に増えました。
揚げ物の中の平日構成比は、28%から40%に上がりました。
選ばれたのは味ではありません。
“失敗しない未来”です。
◇事例③|精肉売場(豚こま肉切れ)
価格訴求をやめて、粗利が上がった例
【Before】
売価は100g128円
平均購買点数は1.2点
値引率は12%
POPには「家計応援」「お買い得」と書かれていました。
【After】
POPに次のようにコメント(キャッチコピー)を追加しました。
「これがあれば、
平日のおかずが3品決まります」
そして、メニュー提案レシピーPOP(炒め物・丼・生姜焼き)を併設しました。
【結果】
平均購買点数は1.2点から1.6点に上がりました。
値引率は12%から約6%に下がりました。
粗利額は月18万円改善しました。
安さではなく、
“先が見える未来”が購買を後押ししました。
売場で「未来」をどう伝えるか【実践整理】
① 商品説明より先に“未来”を書きます。
② 部門ではなく「使われる場面」で売場を編集します。
③ なぜこの商品なのかを現場で、言葉で語る状態をつくります。
未来を語れる売場は、
価格ではなく理由で選ばれるのです。
売場の役割は「説得」ではなく「安心」
買い物は、小さな決断の連続です。
決断が多くなるほど、人は疲れます。
疲れた先で選ばれるのは、
たいてい「安い方」です。
売場が提供すべきなのは説得ではありません。
「これで大丈夫」という未来への安心感です。
言い換えれば“不安の解消”です。
これは、「買う理由」として、実践的マーケティング上、大きなインパクトを持っています。
変えるべきは商品ではなく、売り手の思考
「良い商品を扱っているのに売れない」
それは危機ではありません。
売り手の思考を進化させる合図です。
商品を変える前に、
売場を変える前に、まず――
売り手自身が
“お客様の未来を見る位置へ立つ”ことが必要です。
そこから、
『選ばれる売場づくり』は始まります。
そして何より、
このことを理解して、
即時テストを行う、 あなたの行動が結果を大きく変えることになります。
▼▼▼営業利益2倍@スーパーコンサルのYouTubeチャンネル▼▼▼
【予告】スーパーマーケット「5分でわかる業績アップ策」
スーパーの”現場の悩み解決シリーズ”スタート!
●「売上が伸び悩んで、何をしたらいいかわからない」
●「競合が厳しく、今までの成功パターンが通用しない」
●「経費ばかり増えて、いくら頑張っても利益が残らない」
現場で頑張る、あなたのお悩みに、
今さら聞けない社長の悩みにもお答えします。
こちらをクリック ⇒ https://youtu.be/bvT38FgG2rM
2025年12月08日
― なぜ、あのスーパーだけが利益が残るのか・・・?
「売上はあるが、利益が残らない」
「現場は忙しいのに、手元にお金が残らない」
こうした悩みは、スーパーマーケット経営において決して珍しいものではありません。
人手不足、価格競争、原価高騰、大手との競合。
環境要因を挙げれば、理由はいくらでも見つかります。
しかし、長年安定して利益を出し続けているスーパーが存在するのも事実です。
その差は、立地や規模だけで生まれているのではありません。
日々の判断基準と、積み重ねてきた習慣の差です。
個人がお金持ちになるプロセスと、会社が利益体質になるプロセスは、驚くほど似ていると感じます。
今回は、「お金持ちの習慣」をヒントに、
スーパーマーケット経営に置き換えて、その本質を整理していきます。
1.儲かる会社は「売上」より先に「仕組み」を整える
多くの会社は、売上を伸ばすことで問題を解決しようとします。
今までこの考え方でやってきて、結果が伴っていないにもかかわらず、同じことを繰り返しています。
利益が残らない原因の多くは、売上の大小ではなく、構造の歪みにあります。
売上が伸びても、
- ロスが増える
- 値引が常態化する
- 人件費が膨らむ
このような状態では、会社は徐々に疲弊していきます。
儲かるスーパーは逆です。
まず、
- 原価構造
- 人件費構造
- 商品構成
- 作業構造
これらを冷静に、そして定期的に見直しています。
「この売場は、本当に利益を生んでいるのか・・・」
「この作業は、付加価値を生んでいるのか・・・」
こうした問いを、感覚ではなく数字で繰り返しています。
2.お金の使い方で会社の体力は決まる
― 売上よりも「コストの質」を管理する
お金が残らない会社の最大の特徴は、
コストを把握していないことです。
- 人件費は「仕方のないもの」
- ロスは「商売上の必要経費」
- 販促費は「とにかくやるもの」
こうした考え方が、知らないうちに会社の体力を削っていきます。
儲かるスーパーは違います。
- 人件費は「生産性」で見る
- ロスは「管理可能な数字」として捉え、常に改善する
- 販促費は「利益を増やす投資」として戦略的に使う
重要なのは節約ではありません。
お金を使う基準を明確にすることです。
「この1円は、将来の利益を生むのか?」
この判断を徹底することで、会社のお金の流れは大きく変わります。
3.時間の使い方が利益を左右する
― 忙しい会社ほど、利益は出にくくなる
儲からないスーパーほど、社長や店長が忙しい傾向にあります。
常に現場対応に追われ、考える時間が取れません。
- クレーム対応
- 欠品対応
- 人員のトラブル対応
これらに時間が消えていきます。
一方、儲かるスーパーは違います。
社長・店長の仕事を明確に切り分けています。
- 考える
- 決める
- 仕組みに落とす
この時間を最優先で確保しています。
作業指示は標準化され、
誰がやっても同じ結果が出る仕組みが作られています。
その結果、現場は安定し、利益も安定します。
時間を生み出す経営は、利益を生み出す経営なのです。
4.儲かる経営者の思考は「原因を自社に求める」
結果が出ないとき、環境のせいにするのは簡単です。
- 人手不足
- 競合店
- 価格競争
しかし、儲かる経営者は思考をそこで止めません。
「では、今の条件で最善は何か・・・」
「他社と違う打ち手はないのか・・・」
こうした問いを持ち続けています。
完璧な環境が整うことはありません。
だからこそ、自社で変えられる部分に集中します。
この積み重ねが、会社に「負けにくい体質」をつくりだすのです。
5.習慣が会社をつくり、会社の未来を決る
経営を大きく変える魔法の一手は存在しません。
あるのは、日々の小さな判断と習慣の積み重ねだけです。
- 数字を見る習慣
- 考える時間を確保する習慣
- 仕組みで回す習慣
これらを持つ会社は、確実に強くなります。
会社にとって最大の資産は、
設備でも立地でもありません。
経営者と現場の判断基準そのものです。
そこには、必ず 『現場の人の習慣』 が関わっています。
6.利益は「後からついてくる結果」
利益は追いかけるものではありません。
正しい習慣と仕組みを整えた結果として、後からついてくるものです。
売上が伸びなくても、利益は上げられます。
条件が厳しくても、会社は強くできます。
その第一歩は、
考え方を変え、習慣を変えることです。
自ずと、結果は変わってきます。
私は、コンサルティングの現場で、
いたって普通の人が、
今まで先輩が出したことのないような、実績を達成する現場をいくつも見てきました。
習慣を変えれば、「絶対に無理だ」と考えていたことも、現実のものに出来るのです。
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【予告】スーパーマーケット「5分でわかる業績アップ策」
スーパーの”現場の悩み解決シリーズ”スタート!
●「売上が伸び悩んで、何をしたらいいかわからない」
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2025年11月15日
現場のボトルネックを外せば売上はまだ伸びる ― スーパー経営の基本四原則と改善の実践
「朝の開店に間に合わなかった」「あの商品、また欠品していた」「人が足りないから仕方ない」――。
いつの間にか職場の口癖になっていないだろうか。
多くのスーパーの現場で売上が伸び悩む原因は、外的要因よりも“現場の中にある詰まり=ボトルネック”である。
実は、売上を止めているのは競合などの外的要因でもなく、今まで当たり前に遣っている非効率な作業の流れのどこかにある場合が多いのである。
「もう少し早く準備できていれば」「少し順番を変えれば」――その“少し”の積み重ねこそが、利益を生む現場の改善の本質である。
今回は、スーパー経営の基本である「品揃え・鮮度・衛生・接遇」の四原則を軸に、ボトルネック(制約条件)を見抜き、現場の力で売上を伸ばす実践法を解説する。
人手不足やコスト高の中でも、まだできることはある。
「仕方ない・・・」を「どうすれば・・・」変えれば、店は変わる。その第一歩を、あなたの現場から始めてほしい。
現場の“詰まり”が売上を止めている ― ボトルネックとは何か
スーパーの現場には、売上の流れを止めている“詰まり”が存在する。
これが「ボトルネック(瓶の首)=制約条件」である。
開店時100%の品揃えが“有るべき形”として、それが実現できていない場合、「それを妨げている何か」がボトルネックである。
瓶の首の部分の大きさで、全体の流れが決まる。首の直径が大きくなるか、なくなれば、全体の流れはスムーズになり、得られる成果は大きく変わる。
どんなに努力しても成果が上がらない時、それは頑張り方が間違っているのではなく、作業の流れのどこにボトルネックが有るかを見つけることが重要である。
惣菜売り場で開店時に商品が並ばない、青果で補充が間に合わない。これらはすべてボトルネックの存在がある。
開店時の1日1,000円の欠品でも、365日続けば年間36万5000円の損失となる。
つまり、売上が伸びない理由はお客様の減少ではなく、「現場の詰まり」が原因のことが多い。最初にやるべきことは、“何が流れを止めているか”を見つけることである。
惣菜・青果・精肉・鮮魚にも共通する「制約条件の外し方」
ボトルネックを外す第一歩は、「仕方ない」をやめることである。
人が足りない、時間がない、設備が古い・・・。
そんな理由を並べる前に、現状の中でできる工夫を考えることが重要である。
惣菜なら、“売れる商品から先に作る”、青果なら、“朝のピーク時間に合わせて並べる順番を変える”、精肉や鮮魚なら、“値付けと陳列を分担して同時進行する”。
また、これらと併せて、一品一品の製造数を変えることをも重要となる。
こうした小さな見直しで、驚くほど効率は変わる。
重要なのは、「できる方法を探す」という意識の転換である。
“できない理由”ではなく、“できる工夫”で動かす。これを繰り返すことで、同じ人員でも生産性は確実に上がっていく。
スーパー経営の基本四原則 ― 品揃え・鮮度・衛生・接遇
現場改善のベースにあるのが「スーパー経営の基本四原則」である。
第一は品揃え。欠品は顧客の信頼を損ない、再来店率を下げる。
限られた人員でも、重点商品の欠品を防ぐ工夫が必要である。
第二は鮮度。商品はもちろん、売場の空気感や清潔感も“鮮度”のうちである。
第三はクリーンリネス(衛生管理)。バックヤードの整理整頓も、お客の信頼につながる。
第四は接客・接遇。
言葉だけでなく、目線・声・気配りの一つひとつが売場の印象を決める。
この四原則の標準レベルを設定して、それを守り続けることが、売上を安定的に伸ばす最短の道である。
小さな改善が“年間365万円”の差を生む ― 現場改善の実践
改善の効果は「一度きり」ではなく「積み重ね」で現れる。
たとえば惣菜コーナーで開店時間に間に合うように準備が整えば、売上はすぐに反応する。
次は10分前、さらに15分前と目標を高める。こうして時間を前倒しすることで、お客様が最も買いたいタイミングに商品が揃うのである。
その結果、欠品が減り、機会損失がなくなり、利益が積み上がる。
現場の改善とは、決して難しい理論ではない。
毎日の作業の流れを確認して、その中のボトルネックを一つ外す。
それでも効果が薄ければ、更にボトルネックを探すという活動が重要である。
それだけで、人手を増やさずに売上を伸ばすことができるのである。
地域密着型スーパーが生き残る道 ― 「仕方ない」を変える経営
地方や郊外で営業するスーパーにとって、地域密着は最大の強みである。
地域の風習や旬の味、地元の食材を理解し、それをお客様に伝えることができるのは、地元スーパーならではの価値である。
しかし、その価値を支えるのは“現場力”である。
日々の業務で「仕方ない」を放置せず、「どうすればできるか」を考える文化をつくることが、持続的な成長の鍵となる。
今こそ、“ボトルネックを外す経営”へ。地域の人々の暮らしを支えるスーパーが、もう一段強く、もう一段賢く進化する時である。
成長のためのボトルネック探し
現場の改善とは、特別な人や最新システムが必要なわけではない。
必要なのは、「できない理由」ではなく「できる方法」を考えるチームの力である。
1日の小さな工夫が1か月後、1年後には大きな成果になる。
人が少なくても、設備が古くても、売上はまだ伸ばせる。
その可能性を信じて、現場をもう一度見直してほしい。
スーパー経営の主役は、経営者でもチーフでもなく、“現場の一人ひとり”である。
朝早くから売場を整える人、閉店後に次の日の準備をする人、その努力が積み重なってお客様の信頼をつくっている。
ボトルネックを外すとは、そんな仲間たちの力を最大限に活かすことでもある。
今のままでも店は回る・・・。
「もう少し良くする」ことを諦めた瞬間、成長は止まる。
「仕方ない」を「やってみよう」に変えたとき、現場は動き出し、店は生まれ変わる。今日できる一つの改善が、お客の支持を得て明日の売上を変える。
あなたの現場から、その一歩を踏み出してほしい。
ボトルネックは、どんなに素晴らしいオペレーションの中にも存在する。
それを探さない手はない。改善しないことは勿体ない。
もっともっと、成長できるのに・・・。
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【予告】スーパーマーケット「5分でわかる業績アップ策」
スーパーの”現場の悩み解決シリーズ”スタート!
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2025年11月13日
売り込まずに売上を伸ばす『アンセールスマーケティング』 ― 惣菜部門の販売事例から学ぶ ―
競合の厳しい時代にあっても、今ある資産を最大限に活かし、確実に売上と利益を向上させる方法があります。
それが“売り込まないマーケティング”、すなわちアンセールスマーケティングです。
大規模投資や大掛かりな広告を打たずとも、顧客の心に届く販売は可能です。
ここでは、惣菜部門を例に、既存のスタッフ・商品・売場という資産を使いながら成果を上げる実践法を紹介します。
売り込む前に、体験させる
あるスーパーの惣菜コーナーでは、「まずは味を見てください」と呼びかけ、人気の唐揚げやコロッケを一口サイズで試食提供しました。
お客様は買う前に味を確かめることができ、「これなら買いたい」と納得して購入します。結果として、試食を行った週は通常の1.5倍以上の販売数を記録しました。
“味で売る”ことを優先し、“言葉で売り込まない”ことがポイントです。
納得の上で買うから満足度が高い
惣菜は味や食感、匂いや温度など、実際に食べてみないと良さが伝わりにくい商品です。
試食を通じてお客様が『この味なら家族も喜ぶ』『晩ごはんにちょうどいい』と感じ、納得したうえで購入することで、満足度の高い購買が成立します。
その結果、『またこの味を買いに来よう』というリピート購買につながります。
売らない勇気が信頼を生む
惣菜担当者は、無理に売り込まず『気に入ったらぜひどうぞ』というスタンスを徹底しました。
『売るための試食』ではなく『納得してもらうための試食』に変えたのです。この姿勢が、お客様に“誠実さ”と“自信”を感じさせ、信頼関係を生み出します。
実際、お客様から『この店は味で勝負している』『無理にすすめないから気持ちがいい』という声が寄せられました。
体験を必須化することの効果
『まず味を見てから選んでください』という販売ルールを明示することで、売場が“誠実な空気”に包まれます。
試食による体験は、商品への自信を示す最も強いメッセージです。
また、スタッフが自信を持って接客できるようになり、売場全体の活気も高まります。
このような“体験必須型の売場づくり”が、リピーター育成とファン化を促進します。
売り込まない=体験を先に提供する
惣菜部門でのアンセールスマーケティングとは、味や香りといった“体験”を通じてお客様の心を動かすことです。
・試食を通じて「売り込み感」を消す
・味の自信と誠実さを伝える
・お客様が“納得して選ぶ”売場をつくる
“売らない勇気”が、結果として最も強い販売力を生む。惣菜こそ、体験型販売の力を最大限に発揮できる部門です。
ベネフィットを最大化する
アンセールスマーケティングの本質は、来店客数を増やすよりも“今いるお客様”との関係を深めることにあります。
まず、今の来店客数のままで客単価を上げるには、納得・満足・信頼をベースにした販売が欠かせません。
さらに、売場での楽しい体験や発見が増えれば、自然と来店頻度も上がります。
そして最も重要なのは、スタッフ自身が“実践的マーケティング”を理解し、体験を通じて『売ることの意味』を学ぶことです。
従業員が顧客の心理を理解し、体験型販売を自ら実践できるようになれば、売上と利益は自然と、そして、確実に伸びていきます。
こちら都合の「売り込み」から、お客様が納得して「売れてしまう」売場へ。考えるだけで楽しくなります。
顧客の満足度アップ。社員のスキルアップと粗利益アップ。そして、生産性は少しづつ確実に向上するはずです。
一番大事なことは、言うまでもなく、実行することです。
2025年10月31日
大手に負けない!中小スーパーの売上・利益向上作戦
地方のスーパーマーケットを取り巻く環境は、年々厳しさを増している。
イオンやマックスバリュなどの大手チェーンが商圏に入り込み、さらにドラッグストアが食品を扱い始めたことで、価格競争は激化。消費者の購買行動は変化し、若年層の食離れ、高齢層の外出減少、共働き世帯の時短志向が重なっている。
そうした中で、「地域の中小スーパーはもう勝ち目がない」と嘆く声も少なくない。
しかし、本当にそうだろうか。大手のやり方を真似して総合戦を挑めば確かに勝てない。
だが、戦う場所とやり方を変えれば、地元密着のスーパーでも十分に勝機はある。その考え方の基本にあるのが、ランチェスター戦略である。
総合では勝てない。「小さな1位」をつくる
ランチェスター戦略とは、本来は戦争理論から生まれたもので、“強者は総合力で攻め、弱者は一点集中で勝つ”という原則を持つ。これをスーパーマーケットに当てはめると、「総合一番を目指さず、小さな一番をつくる」ことが重要になる。
中小スーパーが目指すべきは、「この地域で刺身ならうちが一番」「惣菜はどこにも負けない」「地元のお年寄りが一番買いやすい店」といった小さな一位ポジションである。
広く浅くすべてを平均的にやるのではなく、特定の部門や顧客層に資源を集中することで、強者に勝てる局地戦をつくる。これが地方スーパーの生き残り戦略の核心だ。
差別化として、「大手がやらない価値をつくる」
価格では勝てないからこそ、価値で勝負する。
たとえば地元の農家や漁師、精肉業者と直接つながり、「〇〇さんのトマト」「△△漁港直送サバ」など、生産者の顔が見える売場をつくる。これは大手が最も苦手とする領域である。
さらに、惣菜の自家製化も有効だ。セントラルキッチンでは出せない“手作りの味”を活かし、地元の味付けや旬の食材を生かしたメニューでリピーターを増やす。
「この店の弁当は美味しい」という評価は、地域に根を張る中小スーパー最大の武器になる。
また、高齢化の進む地方では、地域密着型の商品展開も差別化になる。
1人分の野菜パック、少量惣菜、半分カットのフルーツなど、「ちょっとだけほしい」というニーズに応える工夫が顧客の心をつかむ。顔の見える配達、電話・LINE注文などのサービスも有効だ。
一点集中で、 「重点カテゴリー・重点時間を絞る」
中小スーパーにとって最大のリスクは「何でも屋」になることだ。
すべてのカテゴリーを広く扱えば、在庫も作業も増え、利益は薄まる。そこで重要なのが“一点集中”の考え方である。
惣菜・青果・寿司など、来店動機を生む“核部門”を明確にして、そこに人と時間と販促を集中させる。
たとえば「夕方の弁当・惣菜を強化」「土日の果物フェアを徹底」など、時間帯と部門を組み合わせた“集中戦略”を実施する。
重点商品の売場面積を広げて訴求力を上げる。限られた人時を、利益を生む商品・時間に投資することが、中小スーパーにとって最大の生産性向上策となる。
接近戦で、 「お客様と直接つながる」
大手はデータで顧客を把握する。しかし中小スーパーは“顔”と“会話”で顧客をつかめる。
これこそが最大の武器だ。
試食販売や声かけでお客様との距離を縮め、「この店のチーフが勧めるなら買ってみよう」と思わせる関係性を築く。
SNSを活用しよう。
FacebookやLINE、InstagramやYouTubeで、「今日のおすすめ」「限定入荷!」と発信することで、顧客とのリアルタイム接点を増やせる。
また、常連客リストやLINE登録によって個別案内を行えば、「◯◯さん向けに今日だけ仕入れました」という“特別感”が生まれる。これは大手が決して真似できない“地域の信頼”を積み重ねる行為である。
「小さな1位」の具体例
①農村・郊外型スーパー
惣菜売上構成比を20%以上に引き上げる。自家製・地元食材の惣菜で昼食・夕食ニーズを取り込む。
②鮮魚強み型
「刺身がうまい店」として境港直送や夕方の鮮度訴求を徹底。限定入荷情報をSNSで発信する。また、朝仕入れた魚の煮付けやフライも最高だ。
③高齢者多い商圏
「シニアにやさしい店」をテーマに、個食・小容量を強化。買い物代行や配達連携で“地域の見守り機能”を果たす。
④通勤客多い商圏
「15~19時が強い店」として、夕方時短惣菜・弁当・タイムセールを集中。帰宅動線上に“ついで買いコーナー”を設ける。
これらはいずれも「総合で勝つ」のではなく、「局地で勝つ」戦略である。
限られた経営資源を分散せず、強みを一点に集中することが利益向上の近道だ。
「やらないこと」を決める勇気
この戦略の本質は、「何をやるか」ではなく、「何をやらないか」にある。
中小スーパーが陥りやすいのは、“とりあえず全部やる”発想だ。
結果、在庫は膨らみ、作業は増え、従業員は疲弊する。
だからこそ、次の3つを明確に打ち出す必要がある。
① 安売り競争には参加しない
② 売れないカテゴリー・SKUを削減して投入人時を減らす
③ 全員が重点部門・重点商品を理解し、行動をそろえる
この“引き算の戦略”こそ、収益体質を変える(強くする)第一歩だ。
「ランチェスター戦略のPDCA」を回す
戦略を絵に描いた餅で終わらせないためには、現場でのPDCAが欠かせない。
① 現状診断 ➤売上構成・粗利・人時・ロス・客層を分析する
② 小さな1位の設定 ➤「どの部門・商品・顧客層で勝つか」を明確にする
③ 集中投資 ➤作業人時・販促・売場スペースを重点部門に集中する
④ 接近戦強化 ➤SNSや試食、対話で顧客接点を増やし、日次で改善を繰り返す
⑤ 成果検証 ➤重点商品の売上・客数変化を週次でチェックし、継続的に改善を行う
このサイクルを愚直に繰り返すことで、“地元で一番感じのいい店”が育ち、売上だけでなく営業利益率が確実に上がっていくことが可能になる。
「狭く」 「深く」 「濃く」 で勝つ!
地方スーパーが生き残る鍵は、「大手の真似をしない勇気」である。
強者が「広く」「浅く」攻めるなら、
弱者は「狭く」「深く」「濃く」攻める。
つまり、自分たちが本当に勝てる“場所と顧客”に全力で集中することだ。
“地元で一番感じがいい店”
“刺身だけは負けない店”
“惣菜で選ばれる店”
この「小さな1位」をつくることが、営業利益を押し上げ、地域に必要とされ続けるスーパーの条件なのである。
人口減少や最低賃金上昇といった外部要因に振り回されず、先ずは、改めて自店の「強みの1点」、探してみよう。
自社の強みの一点に、それぞれを磨き上げることだ・・・。
それが、「大手に負けない中小スーパー」への最短ルートなのだ。
2025年10月17日
最低賃金1121時代。せまる1500円。生産性向上は必然。実行すべき【売上アップ&粗利益アップのための必須10策】
最低賃金が1121円となり、1500円時代が目前に迫る中、スーパーマーケット経営は「作業改善」だけではもはや限界を迎えています。
これからの生産性向上は、“働き方の効率化”に加えて、“売り方の生産性”をどう高めるかが勝負です。
つまり、「マーチャンダイジング(MD)」と「実践的マーケティング」こそが、現場を救う最大の武器です。
単に“人手を減らす”のではなく、同じ人数でより多く売る・粗利益を確保するための「知恵と仕組み」を持つこと。
本稿では、現場ですぐ実行できるマーチャンダイジング&実践的マーケティング・必須10策を紹介します。
① 顧客視点に立ち返る ― “誰に・何を・どう売るか”の再設計
売場づくりや販促企画を考える際、まず、最初にやるべきことは、「顧客を見つめ直すこと」です。
データ分析より先に、“誰のための売場か”を明確にする。
ターゲット(誰に)とポジショニング(どう見られたいか)を明確にすれば、無駄な施策は減り、売場の方向性が定まります。
ファミリー層は「夕食の時短・家族の満足」、単身層は「手軽・少量・映える」、高齢層は「健康・安心・少量パック」。
このように購買動機を分けて考えることで、同じ商品でも“見せ方・言葉(伝え方)・陳列位置”を変えられます。
顧客像の明確化が、すべてのMDの出発点です。
② 重点カテゴリーを明確に ― 「どこで勝つか」を決める
すべてに力を入れると、どこにも勝てません。
「どの部門で粗利益を稼ぐか」「どのカテゴリーを店の強みにするか」を経営レベルで明確にすることが、これからの生産性経営の要です。
特に中小スーパーでは、“広く浅く”より“狭く深く”の集中戦略が効果的です。
重点部門では、相乗積(売上構成比 × 粗利率)の高い商品群を分析し、「利益の柱」を見える化する。
その結果、店全体の収益構造を“意図してデザイン”できるようになります。
③ 季節と天候を味方に ― “売れるタイミング”の再現性を高める
スーパーの売上は、天気と気温に強く影響されます。
「暑い」「寒い」「雨」。
この当たり前を“仕組み化”している店は少ない。
天候連動型の販促は、POSデータよりも“感性×データ”の融合です。
たとえば、気温25度を超えたら「冷やし麺」「そうめんつゆ」「サラダ野菜」を前面展開。
“気温×気分指数”をもとに、即日で売場を修正する力が、これからの店の競争力になります。
「天気が変われば売場が変わる」。
この即応性こそ、実践的マーケティングの真髄です。
④ 定番棚を見直す ― “稼ぐ棚”への構造改革
定番棚は“売れる・売れない”の集積です。
にもかかわらず、多くの店舗では「過去のまま」「取引慣習のまま」で動いていません。
今こそ棚1本あたりの粗利益を見える化し、“稼ぐ棚”へと組み替えるべきです。
カテゴリー単位で「生産性基準」を設け、死に筋は思い切って削減。
その分、回転率と利益率の高い商品にスペースを再配分します。
“商品を選ぶ基準”から“棚を稼がせる基準”へ発想を変えることが、収益改善の第一歩です。
⑤ 売場を語るPOPとストーリー ― “買いたくなる理由”を演出
POPは「値段を知らせるため」ではなく、「価値を伝えるため」にあります。
“安さPOP”ではなく、“選ばれる理由POP”へ。
「このトマトは朝どれ」「この弁当は店内仕込み」「この魚は○○港直送」。
ストーリーを語れば価格以外で勝負できます。
特に健康・時短・地元愛といったキーワードは、購買意欲を高める効果が高い。
産地・調理・健康を軸に“会話する売場”をつくりましょう。
POPが語れば、店員が語らずとも商品は動きます。
⑥ 試食・体験・SNS連動 ― 五感と共感を生むマーケティング
試食は「人件費のムダ」ではなく、ROI(投資効果)で考える時代です。
“試食1回=販促投資”と位置づけ、販売数量やリピート率を測れば、実施の価値が明確になります。
また、試食風景や調理動画をInstagram・LINEで発信すれば、店外でも“空気感”を共有できます。
「この店は楽しそう」「行ってみたい」と思わせる“共感マーケティング”が、地域密着店の最大の強みです。
⑦ チラシから“リピート設計”へ ― 販促の目的を利益に変える
チラシは集客のためのツールで終わらせてはいけません。
重要なのは、“集客後の利益構造”をどう作るかです。
すなわち、フロントエンド(集客)とバックエンド(粗利拡大策)の設計を両輪で考えること。
来店データや購買履歴を分析し、「初回購入→再購入→固定客化」への動線を描きましょう。
「売ったら終わり」ではなく、「また来たくなる理由」をつくる。
この発想転換が、販促コストを投資に変える鍵です。
⑧ 値引き依存からの脱却 ― “割安感”より“納得感”を売る
値引き競争では、永遠に利益は残りません。
いま必要なのは“割安”ではなく“納得”の提案です。
「この価格でこの味なら納得」「このセットなら便利で助かる」。
お客様が“選ぶ理由”を感じる売り方を設計します。
味・楽しさ・面白さといった情緒的価値を前面に出すと、値引きに頼らず売れる。
例えば“2人用おうち焼肉セット”“旬野菜+簡単調理レシピ付き”など、
値段より体験価値を高める“バリューパッケージ”がこれからの主戦場です。
⑨ 売場改善を“仕組み化”する ― 一人のやる気に頼らない店づくり
どんなに意識の高いチーフがいても、属人的では成果は続きません。
重要なのは「仕組み化」。
MD計画書と陳列指示書を連動させ、誰でも同じ品質で売場を再現できるようにすることです。
週次・月次・季節ごとのPDCAを回し、「売れた」「売れなかった」を数値で振り返る。
“やる気頼み”から“仕組みで勝つ現場”へ。
この切り替えが、生産性経営の最重要テーマです。
⑩ 店長・バイヤーがマーケターになる ― “考える現場”の育成
店長・バイヤーは「管理者」ではなく「マーケター」へと役割を変える時代です。
数字を読む力、顧客を感じる力、現場を動かす力。
この3つを兼ね備えた人材が店の未来を決めます。
「数字で語る会議」を習慣化し、AIやPOS分析で課題を発見する。
さらに、パート社員の“現場の声”を組み合わせることで、データに“温度”が加わります。
数字と感覚の融合で、“考えるチーム”に変わる。
これが、1500円時代を生き抜くスーパーの最強の武器です。
【まとめ】
― 小さな実践を全員で積み上げる。それが1500円時代を生き抜く最大の武器 ―
今回紹介した10の策は、特別な投資やITシステムを導入しなくても、
どこの会社でも、誰にでもできる「現場発のマーケティング改善」です。
重要なのは、「やる・続ける・振り返る」こと。
チラシや値引きよりも、
“お客様の気持ちをつかむ力=マーケティング力”を鍛えた店は、必ず強くなります。
マーケティング力が高まれば、
・同じ来店客数でも売上と粗利が上がる
・お客様がリピートしてくれる
・スタッフが“売れる理由”を理解して動ける
という、売上・利益・人材の三拍子がそろった好循環が生まれます。
そして、忘れてはいけないのが、パート社員の参加です。
パートさんこそ、日々お客様と接している“生活者の代表”です。
彼女たちの「お客様の声」「気づき」「提案」を現場改善に活かせば、
マーケティングは“机上の理論”から“売場の実践”に変わります。
売場を変えるのは一人の努力ではありません。
店長もチーフもパートも、みんなが一枚のチームになることで、
「お客様の心を動かす店」=「働く人が誇れる店」へと進化します。
最低賃金1500円時代。
人を減らすより、“知恵と工夫で稼ぐ力”を育てましょう。
今日から始める小さな一歩が、明日の生産性を大きく変えていきます。
2025年10月14日
最低賃金1121円時代。せまる1500円。生産性向上は必然。 確実に生き残る会社が実行すべき『オペレーション改善・必須8戦略』
最低賃金はついに1,121円。
そして国の方針として、1,500円時代は確実に視野に入っています。
中小スーパーマーケットにとって、もはや「人件費上昇」はコスト問題ではなく、経営構造を変える転換点です。
いま問われているのは、人を減らすことではなく、同じ人数で2倍の成果を出す仕組みづくりです。
これまで“なんとなくの作業”で成り立っていた店は、ここから先、確実に苦しくなります。
「作業を見える化し、標準化し、改善を積み重ねる」。
この3ステップをどれだけ徹底できるかが、今後の明暗を分けます。
現場を変えるのは“現場の知恵”です。
今回は、明日から始められる「オペレーション改善・必須8戦略」を具体的に紹介します。
① まず「作業量の見える化」から始める
一人ひとりの作業を実地確認、数値化・時間化し、ムリ・ムダ・ムラを明確にする。
最初の一歩は、「見える化」です。
たとえば「品出しに何分」「清掃に何分」「前出しに何回」など、実際にクリップボードとストップウォッチを片手に観察してみる。
すると、同じ作業でも人によって時間差が2倍以上あることに気づきます。
この“ムラ”をデータで見せることで、初めて改善が始まります。
数字で把握すれば、感覚ではなく事実に基づいた改善会話ができるようになります。
② 「誰でもできる標準作業」を再設計する
経験や勘に頼らない“手順を共通化”し、全体としてスタンダードレベル(作業標準)を上げていきます。
作業標準は、忙しい現場ほど軽視されがちです。
しかし“人による差”を埋める唯一の手段が、標準作業マニュアルの整備。
たとえば、トレー盛り付け・値付け・フェイス出しなど、細部まで手順を明確にすることで、新人でも即戦力化できます。
ポイントは「ベテランのやり方を真似させる」のではなく、“誰でもできる”形に簡素化すること。
結果としてチーム全体のレベルが底上げされ、生産性がアップし安定します。
③ 「ムダな在庫一掃」を徹底する
停滞したバックルーム在庫、低回転売場在庫を平準化して“投入人時”を減らす。
バックルームに眠る「いつか売れるかも在庫」は、最大の作業ロス要因です。
在庫が多ければ多いほど、探す・運ぶ・整理する手間が増え、本来の販売作業を圧迫します。
日々の在庫回転を実地とデータでチェックし、「3日以上動かない在庫」を棚卸リストで可視化。
また、売場の低回転商品も定期的に見直し、SKU圧縮と棚割再設計を進めることで、作業がスリムになります。
④ 「マテハン導線」で歩数を半減させる
各カートの活用、ワゴン・作業台の配置を最適化で、“動作のロス”を削る。
作業効率を上げる最短ルートは「歩数の削減」です。
導線分析を行うと、1日で数キロも歩いている従業員が少なくありません。
補充カートの配置、台車の積載ルール、バックヤードから売場への搬出ルートを見直すだけで、1人あたりの移動時間を大幅に削減できます。
“動かすより流す”を意識し、マテハン(マテリアル・ハンドリング)改善=生産性改善と捉えましょう。
⑤ 「売場補充のタイミング」を科学する
POSと来店ピークのデータで、“ムダな管理作業”を減らす。
「補充のタイミング」は感覚に頼りがちですが、データで裏付けると一変します。
来店ピーク(時間帯別売上)と在庫データを重ねることで、“売れる直前”に合わせた補充が可能に。
これにより、早すぎる前出し・遅すぎる品切れを防ぎ、結果として作業回数の削減+販売機会の増加を両立できます。
データは“管理のため”ではなく、“作業を楽にするため”に使うのが原則です。
⑥ 「作業指示書」の活用徹底と“教育ツール”として使う
戦略ツールとして、新人教育と日々の改善を両立する“教えながら改善する”仕組み。
作業指示書は単なる予定表ではなく、「戦略を現場に落とし込むツール」です。
日々の作業を「何を」「何時までに」「どの様に」「優先順位」を明文化することで、誰でも同じ方向で動けるようになります。
さらに、それを新人教育に活用すれば、“教えながら改善する”文化が定着。
店長やチーフが「今日の作業をどう進めるか」を現場で共有することで、自走型のチームが育ちます。
⑦ 「日別・時間別の作業割当表」で人時を最適化
感覚ではなく実地確認で、“作業に人を適正配分”し適時コントロール。
「人を動かす」のではなく、「作業に人を当てる」発想へ。
時間帯ごとの作業内容を実際に観察し、作業割当表を作成することで、必要な人員を必要な時間だけ配置できます。
昼ピークに集中、夕方の片付けを短縮、開店前の段取りを最適化するなど、人時あたり生産性(売上÷投入人時)が明確に向上。
毎日の計画と実地確認と適時修正指示で、店全体の“ムダな労働時間”を確実に減らします。
⑧ 「改善会議」を“やる気が生まれる場”に変える
数字と現場を結び、評価で、スタッフが主体的に改善提案できる文化づくり。
改善の定着には「場」が欠かせません。
ただし、会議を「叱責の場」にしてはいけません。
数字を共有し、改善を評価し合う“前向きな会議”にすることで、現場のモチベーションは一気に高まります。
「誰のアイデアで成果が出たか」を明確にし、全員で称える。
そうした積み重ねが、“やらされ感”を“やりがい”に変え、真の生産性向上を実現します。
■ まとめ
最低賃金1,121円——そして1,500円の時代は、もう目の前です。
これは単なる人件費上昇ではなく、「経営の選別」が始まった合図です。
これまで“人海戦術”で何とか回っていた店舗ほど、今後は急速に収益を圧迫されます。
「人が足りない」「募集しても来ない」「忙しくて見直す時間がない」。
多くの店がそう口にします。
しかし、その言葉の裏側には、“構造を変えられないまま、現場任せで走ってきた”という現実があります。
今回の8つの作業改善策は、設備投資も特別な技術も不要です。
どこの会社でも、誰にでもできることです。
必要なのは、「現場を観る力」と「続ける覚悟」だけ。
見える化し、標準化し、仕組みに落とし込む。
この地道な改善の積み重ねが、次の5年の差を決定づけます。
生産性が上がると、会社も人も変わります。
売上は同じでも、利益は増える。
利益が増えれば、賃金を上げられる。
働く人のやる気が上がり、離職が減る。
その結果、教育投資・商品開発・地域貢献にまで資金を回せる——
まさに、「いい仕事がいい循環を生む」構造改革が始まります。
逆に、今のまま何も変えなければどうなるか・・・。
利益が出ず、人件費だけが膨らみ、
“人を減らして現場を疲弊させる”悪循環に陥るのは時間の問題です。
「生産性向上」は経営の“選択肢”ではなく、“生き残るための必然”です。
いま行動を起こすかどうかが、5年後の明暗を分けます。
小さな一歩でも構いません。
作業の一つを測る、指示書を見直す、在庫を整理する——
その積み重ねが、「強い現場」「強い会社」への確実な一歩になります。
言っていることは理解できる。
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2025年10月08日
インストアMDで売場が変われば利益が変わる。 基本「5」原則と実践「8」原則【商人舎8月号原稿】インストアMDで売場が変われば利益が変わる。
「今のお客は、チラシも見ない。買うものは決めている。」
そう嘆く現場の声を、私たちは何度耳にしただろうか。
しかし、同じ状況下で「買上点数が増えている」「ついで買いが伸びている」という売場も確かに存在する。違いは何か? 答えは「インストア・マーチャンダイジング(以下インストアMD)」にある。
インストアMDとは、文字通り「店内でのマーチャンダイジング」だが、単なる商品陳列ではない。お客の感情を動かし、購買行動を喚起する「仕掛け」を売場に組み込む技術である。
これは、値引きに頼らず粗利益を上げる、もっとも健全で持続可能な手法であり、「モノが売れにくい時代」において最も必要とされるスキルである。
また、人手不足や物流の制約が続く中でも、店内での演出や仕掛け次第で、粗利も売上も伸ばせるのがIMDの強みである。先に、MDの実践において、押さえておくことで、その成果と成功の確立を向上させるため基本原則について解説する。
インストア・マーチャンダイジング 『5つの基本原則』 を知る
【原則 ①】「買物導線=売上導線」であることを意識する
お客様がどこから来て、どこを通り、どこで立ち止まるのか。
これは店舗設計における基本だが、インストアMDでもっとも大切な「売上の流れ」をつくるための出発点となる。通路幅・ゴンドラの角度・平台の配置まで、お客様の流れを意識して商品を配置すれば、自然と“ついで買い”や“衝動買い”が起こる。
《実践例》青果売場入口に旬の果物の試食を設ける ☛来店直後の買上率を上げる。
【原則 ②】「テーマを持った売場」が“選びやすさ”を生む
ただ商品を並べるだけでは“棚”でしかない。
お客様は「今晩の夕食」「子どものお弁当」など目的買いで来店している。その目的に寄り添ったメニュー提案型・使用シーン別・時間帯別の売場をつくることが、売上につながる。
《実践例》「夏の冷しゃぶセット」=豚しゃぶ肉+カット野菜+ポン酢+豆腐+ビールをセット展開
【原則 ③】「アイキャッチ=立ち止まり」を演出する
インストアMDは“気づかせる”ことが仕事である。
POP・什器・照明・音響など、売場の“五感刺激”を使ってお客様の足を止める仕掛けを設けることで、買上点数は飛躍的に上がる。特に季節感・手づくり感・限定感の演出が効果的だ。
《実践例》惣菜売場に「店内仕込み」の手書き風POP+湯気演出 ☛夕方の買上率UP
【原則 ④】「商品回転 × 粗利率」で“売場効率”を管理する
売場を演出する際、つい見栄えや話題性に偏りがちだが、インストアMDの目的はあくまで売上・粗利益の最大化である。
SKUあたりの回転率と粗利率のバランスを評価指標(KPI)として導入し、定期的に見直すことが必要だ。
《実践例》低回転・低粗利の定番品を削減し、「高回転 × 高粗利」なオリジナル商品を中心に展開
【原則 ⑤】「売場は編集物」であり、常に“動かす”ことで活き
売場は“編集されたメッセージ”であるべきだ。
同じ景色が続く売場は、次第に見られなくなる。だからこそ、週ごと・日ごと・時間ごとに「変化」を与えることがインストアMDにおいては不可欠である。スタッフの習熟度やマニュアル整備も重要だが、「売場の編集力」=「現場の営業力」ととらえたい。
《実践例》「15時のおやつ特集」☛14時に売場を一部組み替えるだけで、午後の売上が伸長
以上の様な、基本原則を知り、チーム全体で理解共有することで、実行後の成果拡大の確率を高めることができる。
続けて、インストアMDによって「利益が生まれる売場」の構築法について、その実践に必要な基本原則を8つの視点で解説する。
1.プレゼンテーションの原則 〜売場は無言の営業マン〜
売場は、営業トークをしない。だが「見せ方」で商品は語る。
だからこそ、プレゼンテーション(視覚訴求)はインストアMDの根幹だ。
第一に重要なのは、「選びやすさ」と「欲しくさせる」の両立である。
たとえば、カットフルーツ売場なら、「食べたい場面」を想起させる訴求(例:冷蔵庫で冷やしてお風呂上がりに)と、「品揃えのメリハリ」が重要だ。サイズ違い・価格帯の違い・用途の違いを明確に見せることで、「選ぶ楽しさ」と「納得感」が同時に伝わる。
第二に、「前景・中景・背景」の構成で売場をつくること。
POPが前景、商品そのものが中景、棚や什器が背景。この三層が整ってはじめて、「目に留まる売場」になる。商品だけを目立たせようとするのは素人の発想だ。POPがなければ、商品は無言で棚に並ぶだけ。逆に、POPだらけで商品が見えないのも逆効果。
POPは、サイレント・セールスマンと言われる。その数でも、サイズでもない。1枚のPOPで、なんぼの売上と利益を叩き出すかが問題だ。
“売る気”と“買う気”の交差点を設計する──それがプレゼンテーションの本質である。
2.プロモーションの原則 〜「買う理由」をその場でつくる〜
インストア・プロモーションは、「その場での衝動買い・関連買い・想起買い」を喚起する手段である。
ポイントは3つ。
1つ目は「今日、買う理由」をPOPや陳列で提示すること
たとえば「今だけ!朝どれ○○」「この天気だからこそ」など、タイムリーなコピーが有効だ。人は「買わねばならぬ理由」よりも「買いたくなる理由」で行動する。
2つ目は、「提案型プロモーション」。
たとえば、豆腐コーナーに「冷奴+薬味セット」「麻婆豆腐の素+豚ミンチ」のコラボ展開。家庭での使用シーンを具体的に提案し、“買い合わせ”を自然に導く。皿に乗った調理見本を見せることなどは、お客の視認率を上げるための効果的な方法と言える。
これらは、関連購買率を上げる非常に有効な方法だ。
3つ目は、「非価格訴求による魅力化」である。
値下げだけがプロモーションではない。「産地のこだわり」「作り手の物語」「健康メリット」など、価値を言葉にして伝える。
価格に頼らず、価値で売る──それがインストアプロモーションの真価である。
これらの取り組みは、「人は、感情で物を買う」というマーケティングの原則に沿った具体的な取り組みだ。
3.重点商品の考え方 〜「主役」を決めて、引き立てる〜
売場には「主役」と「脇役」が必要である。どの商品を重点商品とするか──この判断がインストアMDの戦略性を左右する。
重点商品の選定基準は以下の3つ。
- 集客性が高い (例:旬の果物、季節惣菜など)
- 粗利益率が高い (例:加工品、オリジナル商品など)
- 関連販売がしやすい (例:鍋材料セット、BBQ商品など)
重点商品は「まとめて見せる」「目立つ位置に置く」「POPで語らせる」ことで、“選ばれる確率”が飛躍的に上がる。売場づくりの4P(商品・展開場所・プロモーション(販促)・価格(相対的))の出来栄えが結果を大きく左右することになる。
売場全体における「導線のハブ」として設計すれば、周辺商品にも波及効果が生まれる。
逆に、すべてを均等に展開してしまうと、お客の目線は散り、売場に“物語”がなくなる。
重点を明確にすること。それが、買わせる売場の第一歩だ。
4.「売場づくりの4P」の考え方
マーケティングの基本「4P」を、売場づくりに当てはめて再構築しよう。
【Product(商品)】
「何を売るか」ではなく「何が売れるか」。データだけでなく、「気候・気温・曜日・行事・天気」といった“感性情報”を重ねて、品揃えの幅と深さを調整する。
【Place(展開場所)】
同じ商品でも、平台・ゴンドラ・エンドでは“売れ方”が違う。重点商品は「最も目立つポジション」に配置する。通過率、視認率が高い場所ということになる。
また、ゾーンをまたぐ展開(例:肉売場に焼肉のたれ)で“異なる欲求”をつなげる。
【プロモーション(販促)】
POP、試食、手書きコメントなど、人的要素を加えることで「売場に温度」を持たせる。スタッフの一言が“最後の一押し”になるケースも多い。「迷っているお客の背中を押す」ための活動である。
【Price(価格)】
値下げでなく、「この価値でこの価格」(納得価格)に見せる技術が重要。比較対照や「1パック〇人前」といった“価値の単位”を示すことで、価格への理解と安心を得られる。
売場づくりの4P 店内キークエスチョン 具体的アクション例
■Product(商品)
・重点(高支持)アイテム/カテゴリーは何か?
・粗利率と回転率のバランスは良いか? 独自ブランドSKU、地場野菜のシングルパック、限定フレーバーの拡充
■Place(展開場所)
・通過率と視認率は高いか?
・ホットゾーンに置くのは?
・動線と面積配分は最適か? エンドで衝動訴求、レジ前で想起訴求、温度帯別クロス陳列
■Promotion(プロモーション)
・「今買う理由」を伝えているか?
・もうやり残していることは無いか? 営業POP、LINEクーポン、店内ライブ配信、試食・実演
■Price(価格)
・魅力価格・組み合わせ値引きの設計は?
・「この価値でこの価格は安い」を感じるか? エブリデー・ロープライス(EDLP)+まとめ買い割引+付加価値価格
5.レイアウトとゾーニング 〜「売上地図」を描くという発想〜
レイアウトとゾーニングは、売場全体の設計図であり、言わば「売上地図」である。
ここで最も重要なのは、「買い物動線」を“意図的にデザインする”という発想だ。
お客が最初に入るゾーンに「献立決定商品(野菜、果物、肉、魚)」続いて「即決商品(パン・牛乳・弁当)」を置く、また、中間に「迷わせる商品(お菓子・加工品)」を配置。そして、終盤に「まとめ買い誘導ゾーン(冷凍食品・調味料)」を設けることで、「買上点数」が上がる構造を設計できる。
さらに、「季節テーマゾーン」を客導線(売場中央)に設置することで、お客の足を止め、“旬”を伝えることが可能になる。
このゾーンは「売場の呼吸口」として、毎月更新されるべきである。
ゾーニングは「お客の感情曲線」を描くもの。ストレスなく移動でき、かつ“発見と刺激”がある──そんな売場構造が、再来店率を高める鍵となる。
【売上の見える化】
下記のレイアウト図は、各販売企画の売場展開図と各マグネット売場の販売実績から、データを抽出し、売上のランクに応じて色分けしたものだ。
いわゆる、売上の『見える化』だ。
色が赤く濃くなるほど売上が高いことを意味する。
《図表の作成手順》
① 各企画をグルーピングして、ストコンにそれぞれの対象商品を登録する
② ①の販売実績データをCSVデータとしてストコンから抜き取る
③ ②をExcelファイルのシートに貼り付ける
④ 別シートに企画別の売上(粗利益)の集計を行う
⑤ 同じExcelファイルの別シートに売場のレイアウト図を作成する《☛図表・参照》
⑥ ④のデータを⑤のレイアウト・シート(下記の図表)の対象マグネットにリンクさせて、売上規模別に条件設定(条件付き書式)して色分けする
《図表》売場展開、「成果・見える化」レイアウト図

一度、レイアウト図をExcelで作成してしまえば、2回目からは、CSVデータの一回の抜き取りとその貼り付けの作業で、短時間でこの『見える化』シートは完成する。
色分け(見える化)することで、経験の浅い人でも、実績や売り場効率などのその内容が簡単に読み取れる。
活用方法としては、
① 予算の達成度の確認
② 売場全体のマグネット売場の販売効率の確認
③ 適宜、売場の配置変更を行う
などである。
そして、販売好調な企画(カテゴリー)に対して、さらなる売上拡大のために、売場づくりの4Pの変更(改善)を考える。また逆に販売不審な企画についても、同様であるが、場合によっては、規模縮小や処分売り、他の企画展開も考えて売り場全体の効率を高めることも行う。
また、これらの活動によって、売場は活性化して、お客の支持を高めることに繋がる。
6.売場での実施のポイント 〜「理論を現場で活かす」実践術〜
理論を知っていても、それが「現場で活かされるか」は別問題である。「計画一流、実行二流」ではいけない。
売場実施において重要なポイントは、次の3点だ。
①オペレーションのシンプル化
複雑な売場変更は長続きしない。什器の汎用化(キャスター付きで動くゴンドラや平台など)、POPのテンプレート化(キャッチコピーのデータ化など)、在庫管理と連動した展開計画(コンセプトと予算設計)など、「仕組み」で簡単に回せる体制を整える。
②担当者への共有と意図の浸透
「どの商品を、なぜこの位置に置くのか」「なぜこのPOP文言なのか」など、それらのことを売場担当者が“腹落ち”していなければ、展開は形骸化する。
朝礼・掲示板・LINE連絡などで、常に「売場の意味」を共有し続けることが必要だ。
③数値で検証・改善する体制
展開前と後の「売上・数量・関連購買率」などを可視化し、小さな成功事例を積み上げていく。改善のPDCAを現場単位で回すことで、組織にインストアMDが根づいていく。失敗から学び、「どうしたら成功するか」をチームで考えアイデアを出し合う。そして実行する。
7.生産性向上からみた売場での実施ポイント
インストアMDを成功させるには、売上高の最大化と同時に「人時売上高」を引き上げる視点が欠かせない。つまり“手間をかけずに高く売る”仕組みをいかに売場に落とし込むかが鍵となる。
ポイントは次の3つだ。
①作業の『見える化』と平準化
日配・青果など補充頻度の高いカテゴリーは「時間帯別補充リスト」を作成し、品出し動線を短縮するレイアウトを設計することで、1品当たりの補充秒数を削減する。
② 標準什器・汎用POPの活用
キャスター付き平台やゴンドラ什器や高さ調整可能な背板什器を導入し、イベント変更時でも最小人(手)数で売場転換が完了するようにする。POPはテンプレート化し、文言を差し替えるだけで即時展開できる状態にしておく。
③ デジタルツールによる省力化
AI需要予測と連動した発注アラート、電子棚札(ESL)による価格改定の自動反映、スマホで閲覧できるクラウド棚割図など、“人が判断すべき領域”と“システムが代替できる領域”を切り分けることで、スタッフは接客や売場演出といった高付加価値業務に注力できる。
これらのことを実現することで、売り場担当者の作業の負担軽減(人時削減)を実現できる。
また、そのことで、売場の修正やデータ確認作業とその頻度を高めることが可能となる。
8.PDCAサイクルのつくり方
インストアMDを継続的に磨き込み、組織知として定着させるには、明確なPDCAサイクルを回す仕組みが必要だ。
【Plan】データと現場感覚を融合して“勝てる仮説”を立案する
POS分析で重点商品候補を抽出し、週末2日間など短期間のテスト展開計画を策定する。
【Do】小さく始めて素早く実行する
テスト売場は1台の平台やエンド1面に限定し、必要な什器・POPもミニマムで用意する。実行段階では担当者を明確化し、“誰が何をするか”を具体的に共有する。
【Check】KPIの可視化とリアルタイムで共有する
売上・粗利・関連購買率・ロス率などを、グラフや表などで可視化(見える化)し、朝礼やLINEグループで即時確認する。比較対象は前年同曜日、通常展開時平均など複数指標を用いる。
【Act】結果を言語化し水平展開する
成功要因・失敗要因を「フォーマット化した検証シート」に落とし込み、写真・数値を添えてストックする。次サイクルのPlan策定時に参照し、他部門・他店へ“勝ちパターン”を横展開する。
このサイクルを回すことで、インストアMDは“イベント”ではなく“仕組み”となり、継続的な粗利益改善とスタッフのスキル向上を同時に実現できる。
これらのことを積み重ねることで、年末商戦や盆商戦など、「稼ぎ時」の計画策定も容易に、そして、その時間も短縮される。
これらのことをベースとして活動し、活動ごとに、そのスタンダードレベルを高めるためには、データベース化して、経験の浅い担当者でも成果を出せる仕組みづくりが重要であり、顧客満足度と会社全体としての生産性を確実に高めることができるようになる。
売場の復権を目指して ~標準化と仕組み化を考える~
インストアMDは、現場の“気づき”と“工夫”が主役である。これを標準化・仕組化することで、どんな立地・どんな競合環境でも売上を積み上げることが可能になる。
「モノを並べる」から「買いたくさせる」へ・・・。今こそ、売場に“仕掛ける”力が問われている。
お客の数が減り、価格競争が激しくなっても、売場にはまだ「伸びしろ」がある。
インストア・MDは、それを引き出す唯一の手段である。
現場で、「見て」「考えて」そして、とにかく「動く」。その積み重ねが、売上をつくり、利益を生む。そして、その仕組みを作り上げる。そのことで、チームが強くなる。
筆者は、コンサルティングの現場で、売上不振や価格競争、人手(人財)不足などで悩む経営者の声を多く聞く。しかし、その多くは、学習するという一番大事なことに時間とお金を使っていない場合がほとんどだ。
まずは、このインストアMDに関する、不足する知識と技能の習得から取り組んでみたらどうだろうか。
最後に、売上を上げる方法は、3つしかない。たった3つだ。
それは、
①客数を増やす ②客単価を増やす ③来店頻度を増やす ことだ。このことは、どんなビジネスにおいても例外はない。
インストアMDは、陳列演出の技術、アップセルやクロスセル、コピーライティングなどの実践的マーケティングの技術によって、お客の関連買購買、想起購買、衝動購買を誘い、結果として②の「客単価を増やす」ことを実現する。
そして、その日々の努力と出来栄えによって、顧客が良い体験をすることによって、③の顧客の「来店頻度」を安定的に増やすことに繋がる。
そしてまた、顧客の満足度向上が実現できれば、評判を生み口コミやSNSの書き込みなどが増えて、①の「来店客数」を増やすことに繋がるだろう。
本稿が、全国のスーパーの現場で「売場を武器にする」実践のきっかけとなれば幸いである。
2025年10月05日
「店を再び元気にする」基本メソッド 居ぬき物件の活かし方「チェックリスト」【月刊・商人舎7月号原稿】
居抜き物件、他社物件への出店を成功させる基本の考え方で、まず大切なのは、良質な居抜き物件の情報をいち早くキャッチできる体制をつくることだ。不動産会社などとの関係強化はもちろん、銀行や同業他社とのつながり、地元の信用金庫や商工会議所などとのネットワークも有効である。撤退情報や閉店予定の店舗情報は、意外とクローズドな情報の中にあったりする。
スーパーマーケットの撤退跡の出店は、省エネ設備や什器、ピットや給排水設備、冷媒配管や排煙ダクトなど、条件が合えば、計画から出店までの期間は、大幅に短縮されることになる。
逆に、経年劣化などの問題が多ければ、コストアップと開店までの準備期間は、確実に長くなる。
また、ホームセンター内の出店、または撤退跡に出店する場合は、ピット工事や排煙ダクト新設などや、照明や空調、床の強度調整など、スーパーマーケットの生鮮売場に必要な設備が必要となる。これらの部分は、新設工事のため、ある意味、新店よりコストが掛かる場合もある。
そこで、居抜き出店のメリットとボトルネックについて、建築と設備に分けて整理しておこう。
建築関係(ハコもの)
【メリット】
①工期が短い・初期投資が抑えられる
既存骨格・外壁・屋根を流用できるので、スケルトンから建築するより、おおよそ30〜40%ほど工期短縮できて、投資額は20〜30%は削減が可能だ。
②近隣住民・行政との調整が短縮できる
既存物件は、用途実績があることから、用途変更や騒音・交通動線に対して、近隣対策に要する労力が削減できる。
③都市部の希少立地を確保しやすい
何よりも、豊かな商圏が期待できる都市部は新規物件が出にくい。したがって、退店物件は掘り出しものになる可能性がある。
以上のメリットを踏まえた上で、注意すべき点を挙げておく。これは居抜き出店のボトルネックになり得るからだ。
【ボトルネック(要注意ポイントと考えられる制約条件)】
①耐震・構造劣化
旧耐震基準(1981年以前)だと補強工事が必要になる。柱・梁の中性化による劣化の度合い、床スラブのひび割れをチェックしておく。
②天井高・床荷重の制限
新たに冷凍ケースや大型陳列什器を設置する場合、1200 N/m²(1㎡当たりの100gは1N)以上の対荷重が要求されることが多い。古い物件では荷重が不足することがある。また、補強工事をすると床の段差が生じることも想定しなければならない。
③搬入車両動線・駐車台数の不足
例えば、荷受けバースが狭いため、トラック旋回が取れないといった物流面の制約条件が残ることがある。
④雨漏り・外壁断熱の劣化
特に海岸部・豪雪地帯では断熱材の湿潤・鉄部腐食が潜在化など、新たな改修コストが発生する場合がある。もともとそうした地域をドミナントにしている企業は承知しているだろう。もし飛び地や新たな出店エリアでこうした居抜き物件が出た場合、注意が必要である。
設備関係(インフラ)
メリット
①電気・給排水ルートが既に敷設済み
盤増設だけで済むケースなら、動力契約工事費が大幅に圧縮できる。
②既存の冷凍・空調設備、排煙ダクトなどの転用
まだ年式の新しいインバータ冷凍機や高効率空調が残っていれば、新たな投資は不要だ。更新時に投資をすればよいので、後ろ倒しにできる。
【ボトルネック(要注意ポイントと考えられる制約条件)】
①電気・給排水ルートが既に敷設済み
盤増設だけで済むケースなら、動力契約工事費が大幅に圧縮できる。
②既存の冷凍・空調設備、排煙ダクトなどの転用
まだ年式の新しいインバータ冷凍機や高効率空調が残っていれば、新たな投資は不要だ。更新時に投資をすればよいので、後ろ倒しにできる。
[太字]【ボトルネック(考えられる制約条件)】[/太字]
①電気容量不足
最近、導入が進むセルフレジ、AIカメラなどの省力にかかわるデジタル機器、駐車場のEV急速充電器などは発電増となる場合が多い。キュービクル増設に数百万単位の新たな投資が必要となる。
②給排水・グリーストラップ容量不足
惣菜売場にキッチンを拡大、増設する場合、排水勾配・油脂分離槽を作り直す必要がある。
③空調ゾーニングが合わない
居抜き出店の場合、“生鮮強化型”としてアピールする場合が多いだろう。設備を変更すると湿度要求が変わって結露・カビの発生可能性がある。ダクト改修コストを見込む必要がある。見落とされがち。
④消防・防災法令の改訂対応
スプリンクラー設置義務や非常放送系のデジタル化など、改築時に遡及適用される部分がある。
レイアウト計画(売場・バックヤード)
【メリット】
①基本動線が出来上がっている
エントランス位置やメインアイルが既にある。大幅な変更を必要としない分、出店する際のレイアウト検討が早い。
②顧客の“記憶資産”を活かせる
旧店を知る顧客には、動線やカテゴリー配置の連想で購買ハードルが下がる。そして、新しい店には期待値が高い。
【ボトルネック(考えられる制約条件】
①柱・躯体ピッチが合わずMDの自由度が低い
例えば、ワイドスペース提案(デリ・ベーカリーの劇場化など)が柱間寸法で制限される。これを活かす工夫が必要だ。既存店のレイアウトや内装パターンを流用するだけでは不足するかもしれない。
②バックヤード面積過多/不足
仮に旧店がバックヤード優先型の場合、客導線縮小と商品ストック過多で坪効率が落ちるパターン場合もある。
③天井吊りサインやデジタルサイネージ取り付け位置が限定
軒高不足で視認性が悪いと、ビジュアルMDを強化するための、再投資を必要とする場合がある。
④物流一貫動線を組みにくい
EC対応への備えは必須となる。ピックアップ拠点やダークストア併設を考慮しなければならない。搬入→加工→出荷までの動線設計をイメージすると、人時ロスが発生する可能性がある。
実務面でのチェックポイント
居抜き物件への出店は、投資効率の高い店舗を実現できる数少ないチャンスであることは間違いない。新規出店では、建築投資コストが高くなっていることと、候補物件自体が少なくなっていることを考えれば、非常に魅力的に見える。
しかし、経年劣化の問題や物理的な制約など、躯体自体の物理面の調査を確実に実行することが重要な作業となる。また、商圏の調査や店舗の撤退理由などソフト面の調査を事前に、そして、確実に行う必要がある。ここを怠って出店を急ぐと、開店後に大きな代償を払うことにもなりかねない。
物件の実地調査で、什器や設備の状態、電気・水道・空調などインフラの劣化具合をしっかり確認する必要がある。初期費用を抑えられるとはいえ、補修費が想定以上になることもある。十分に経験を積んだ専門家の協力を得て、可能な限り修繕・改装にかかるコストの詳細を見積もることが求められる。
次の項目がチェックポイントとなる。
①解体前の構造・設備インスペクション
・X線レーダーで躯体配筋調査
・サーモカメラで漏水・断熱欠損を事前把握
②コストシミュレーション
・“表面リフォーム案”と“フルスケルトン案”の二段階見積もりを取って、隠れコストをあぶり出す。
③行政・インフラ事業者ヒアリング
・電力会社・消防署・保健所の事前協議で法令遡及項目を確定。
④レイアウト概念設計フェーズでIT導入も同時プラン
・セルフレジ配線、AIカメラ位置、WIFIルータ等を先に落とし込むことで、二重配線のムダを防止。
⑤リーシング契約の特約チェック
・退店時における原状回復義務や設備所有権の帰属を明確化し、退出・設備更新リスクを抑える。
想定外への問題対応と情報収集体制
居抜き物件は「時間と初期投資を削減できる即戦力」である一方、「古い規格と見えない劣化が将来の足かせ」になる両刃の剣でもある。
以上のメリットとデメリットを出店の意思決定前に“見える化”しておくこと。実務面でのチェックポイントをクリアしておくこと。
着工後では後戻りコストが発生して、想定以上の出店コストになる場合がある。
また、居ぬき出店の場合、現場で思ってもいなかった問題が発生することもある。本稿に説明した内容以外にも建築工事側、設備工事側、店舗側との調整など、現場での経験を多く積むリーダーと、そのリーダーシップが求められる。逆に、社内に各課題解決能力を持たない場合は、専門化のアドバイスを受けることを強くお薦めする。
以上が居抜き出店を勝ち筋にする第一歩である。
「居抜き物件」に対応したレイアウトの考え方
では居抜き出店におけるさまざまなメリットとボトルネックを理解した上で、出店効果を最大化するポイントを挙げておく。
制約条件の中で最良のアイデアを出す能力を持つことは投資効率を確実に高められることになる。
物理的に天井高や入り口、出口、エレベーターやエスカレーター、これらの条件は大きなコストをかけない限り変えることができない。出来るだけここにコストを掛けることは避けたい。また、避難路や通路幅、防火設備など消防条例上のコンプライアンスを,遵守することは必須である。
それらの制約条件をベースにして、販売戦略を可能な限りダイナミックに実現することが求められる。
ここが、レイアウトマンの知識と経験と、そして、なんと言ってもセンスが求められることとなる。
また、細かな作業になるが、制約のある柱間の幅や通路幅の中で、通路幅を最大化するためには、冷蔵ケースや平台のサイズ、時としては別注のサイズを考えることもある。
それによって、表面上は通常の陳列演出とそん色ない売場を実現できる。これらもレイアウトマンの腕に掛かっている。
とくに売場づくりでは、柱が大きなポイントになる。これは柱を「利用する」のか、「隠す」のかという2つのポイントがある。基本的には柱を活かし、売場の中心に持ってくることができれば、かなりダイナミックな陳列演出、プレゼンテーションの場所を作ることができる。
また、隠す場合は、オープンケースや陳列ゴンドラなどの設置により、その存在を取り込み、柱自体が陳列什器の中に取り込まれて存在感を消すことができる。
そして、多段冷蔵ケースやゴンドラの配置によって、主通路の幅、ゴンドラ間の通路幅が変わる。とくにこの各アイルの幅によって、店舗のイメージは大きく変わる。
そして、この制約条件のなかで、自社のMD戦略をつなげるプロセスにおいて、新たなアイデアが生まれることも少なくない。
これら全ての制約条件をいかにプラスにできるかが、レイアウトマンの知識と技術の蓄積の発揮のしどころだ。
他社事例の見方と学び方
筆者から見た居抜き出店事例についての参考点と注意点を挙げておく。
居抜き出店の成功事例では、ロピアやオーケーが挙げられるだろう。また、ドン・キホーテが、総合スーパーをMEGAドンキに転換した例が挙げられる。
各社の売場づくりに関しては、読者の方々が直接現地に赴き、自分の目で確認していただくことをお薦めする。
各制約条件を巧みに利用して、売場を完成させていることを確認していただきたい。それが、今後の自社の新店やリニューアル店舗にも生かせることも多いと思う。
ロピアは、生鮮部門を中心に、ダイナミックな売場をつくり、制約条件に対する対応力が高いと感じる。グロサリー周りでは、柱を利用して視認率と立寄り率を高める陳列演出を行っている。このことは、売場づくりに大いに参考になるはずだ。
オーケーは、都心部での制約条件の多い物件を開拓している経験と、ローコストオペレーションを軸にした、平面図上でも、立面図上でも、ムダのない設計を行っていると感じる。その中で、陳列全体には、売り込み品と品揃え品のメリハリ展開を行い、生産性の高さ(とくに人時売上高)を感じさせる。
ドン・キホーテについては、独特な「圧縮陳列」を武器に、物理的な制約条件はほぼ問題にしていないと思う。逆にその制約条件を自由自在に使いこなして楽しんでいるようにすら感じる。
どちらにしても、目に見えにくいレイアウト技術を基本ベースに、自社のポジショニングとMDの技術の成果を最大化しているように見える。
ぜひ、ストアコンパリゾンの知識と技術を高める意味でも、時間を掛けて観察してもらいたい。
撤退物件からMDを考える
前ページで、「商圏の調査や店舗の撤退理由などソフト面の調査を事前に、そして、確実に行う必要がある」と申し上げたが、撤退店舗であるということは、そこにお客が存在していて、その情報が収集できるということである。
このことは、新規出店では得られない大きなメリットがある。要するに、撤退店舗の『弱み』を『強み』に変えるという発想ができるということだ。
前述の企業のように、強いポジショニングが確立されている場合は別として、そうでない場合は参考にして考えていただきたい。
以下に、その考え方と幾つかの事例を取り上げる。
(1)なぜ前の店は失敗したのかを“診る”
先ずは、商圏内での聞き取り調査を徹底して行う。
特に、「品揃え」「品質・鮮度」「売場づくり」「価格」「接客」「サービス」など、調査項目を明確にして行い、お客の満足度や購買行動などが聞き取れる。このことは、そのまま出店店舗への要望ということに繋がる。
・商品構成が地域のニーズに合っていなかった
・鮮度・品質が悪く、信頼を失っていた
・価格設定や販促手法が的外れだった
・マンネリで面白さや楽しさを感じなかった
(2)「この店で買いたい」と思わせるMDをつくる
安さだけでなく「価格以上の満足感」を感じさせる商品設計が重要となる。
◆地域密着型のカテゴリーを強化する
・地元野菜・地場魚・地元加工品など、地元らしさを軸にした差別化を図る
・例:「地元農家と毎朝契約」コーナー、「この港で今朝揚がった」鮮魚棚
◆利便性ニーズに応える品揃え
・少量・簡便・即食を重視(高齢化対応、単身世帯対策)
・惣菜コーナーやカット野菜の品揃え強化
◆価値提案型のMD
・「おいしさ保証」付き商品、「専門店品質」の冷凍食品、「一流ホテル仕様」の総菜など
(3)「以前と全く違う!」と思わせる売場づくり
見た目と感情を動かす「魅せる売場」を実現する。
・旧店舗の印象を払拭するために、鮮度感・清潔感・明るさ・活気を全面に出す
・特に青果と鮮魚で“店の表情”をつくる(最初に見られる場所だからこそ)
◆ストーリーで売る
・POP・ビジュアルで「つくり手の顔」「料理提案」「地域の風景」を表現する
・単なる商品陳列ではなく「この商品をなぜ扱っているか」のストーリー発信を行う
(4)価格の「見せ方」を変える
粗利益のマージンミックスに留まらず、営業利益のマージンミックスを戦略的に活用する。戦略部門やカテゴリーを設定して、それを徹底的に強化するために、各部門の粗利益、人件費、その他の経費をコントロールする。特に、FLコスト(原価+人件費)を意識したオペレーション管理を徹底し、生産性を高め戦略部門の品質と価格両面を前面に打ち出すのだ。
・EDLP(毎日安い)+スポット特売(感情に訴える)の組合せで、来店動機を両立させる
・低価格だけで勝負せず、「この価値でこの値段」を打ち出す
(5)リピートを生む売場・商品づくり
・季節ごとに売場テーマを設ける(例:春=新生活、夏=スタミナ、秋=味覚、冬=鍋)
・月替りの「店長のおすすめ」「地元の逸品コーナー」
など、来るたびに発見がある仕掛けを行う。
そして、ロイヤルカスタマー向け商品(高単価・高品質)と節約志向商品との両立による二極対応を行う。
「違い」を明確に伝える販促
「前の店とは全く違う」という印象を持たせるため、チラシ・POP・SNSで積極的に発信する。そして、顔が見える店づくり(店長や担当者のおすすめコメント)で、“人”の信頼感も演出する。
このように、撤退店舗の再生には、「過去と違う」「今の地域ニーズに応える」「買う理由がある」マーチャンダイジングが不可欠である。単なる安売りではなく、“価値”と“体験”でリピーターを生み出すマーチャンダイジングが、店を真に蘇らせる鍵になるのである。
2025年10月05日
価格競争に勝つ「秋のマーチャンダイジング」
〜“旬と温かさ”を売る売場づくりの実践〜
1.「食欲の秋」は“温度”と“旬”で売る
気温が下がり始める秋は、「旬」と「温かさ」の両方を感じる季節。
お客様の買い物動機も、“旬の食材を使った温かい料理が食べたい”へと変化します。
スーパーのマーチャンダイジングでは、単に商品を並べるだけでなく、
「旬の味覚で体を温める」「季節を感じる」「家族が集う」——
この3つの情緒を売場で表現することが大切です。
たとえば、鍋つゆコーナーを中心に「白菜・春菊・きのこ・鶏肉・豆腐」など旬の鍋素材を集め、
“寄せ鍋島”を作れば、購買導線が短くなり、「今夜これを作ろう!」という気持ちを引き出せます。
このような旬のテーマ販売が、秋商戦の勝敗を左右します。
2.カテゴリ別「ホットメニュー」提案
添付資料をもとに、
秋の売場では次の5つのカテゴリーを軸に展開すると効果的です。
■鍋・スープ系(旬の野菜であたたまる)
「寄せ鍋」「すき焼き」「豚汁」「きのこクリームシチュー」など、旬野菜をふんだんに使ったメニューが人気。
→ 売場ポイント:鍋スープの素・白だし・ポン酢を手前に陳列し、根菜・きのこ・豆腐を連動展開。
→ 旬訴求例:「地元産の里芋」「今が旬のしいたけ」などPOPで強調。
■煮込み・オーブン系(じっくり煮て旬を味わう)
「牛すじ大根」「豚汁」「ロールキャベツ」「グラタン」「ラザニア」など、時間をかけて煮込む料理が増える時期。
→ 売場ポイント:トマト缶やホワイトソース、旬のかぼちゃ・さつまいもを使った提案で彩りアップ。
■焼き・鉄板系(香ばしく旬を楽しむ)
「きのこと鮭のホイル焼き」「秋刀魚の塩焼き」「石焼ビビンバ風ご飯」など、香りで購買意欲を刺激。
特にサンマ(秋刀魚)は秋を代表する旬魚。脂がのったサンマを“今が旬”と打ち出し、
「大根おろし」「すだち」「しょうゆ」と一緒に関連販売すると、付加価値が上がります。
→ 売場ポイント:鉄板プレート・ホイル・調理酒などを関連販売し、焼き立て演出や香り訴求を強化。
■ご飯・麺類(旬の味覚で主食を格上げ)
「栗ご飯」「松茸ご飯」「鍋焼きうどん」「あんかけ焼きそば」など、秋の味覚の食材をふんだんに使ったメニューで客単価アップ。
→ 売場ポイント:炊き込みご飯の素、だしパック、柚子胡椒など“旬の味変アイテム”を展開。
3.秋のスイーツ・ホットデザート(旬の甘味で心を温める)
秋は“スイーツの旬”でもあります。果物・芋・栗・かぼちゃを使った温かいスイーツ提案が、お客様の心を掴みます。
■主なメニュー
- 焼きりんご(シナモンバター)
- さつまいもプリン
- かぼちゃのチーズケーキ
- 栗のモンブラン・栗きんとん風スイーツ
- ホットアップルサイダー
- 甘酒・ホット柚子茶
→ 売場ポイント:りんご・さつまいも・かぼちゃ・栗の“旬産地フェア”を展開し、
バター・生クリーム・砂糖・シナモンなど製菓材料を関連販売。
レジ前やベーカリー横で「ほっと一息」提案を行うと購買率が確実に向上します。

4.“旬の温もり”を演出する売場設計
売場は「体感温度」と「旬感覚」で季節を演出しましょう。
照明を暖色系に変え、POPやのぼりには「ほっこり」「湯気」「旬の味わい」といった言葉を使うことで、
お客様の五感に訴える売場が完成します。
また、鍋野菜・根菜・芋類・柑橘・きのこ・サンマ・栗をまとめた
**「旬のホットメニュー特集コーナー」**を入口に設けることで、
季節感と購買意欲を同時に高められます。
5.秋商戦のキーワードは「家族・団らん・時短・旬」
秋は家庭内での調理機会が増える時期。
「旬の食材で、簡単に、家族が喜ぶ」メニューを軸に訴求することで、購買単価とリピート率が上がります。
惣菜部門では「温めてすぐ食卓へ」をテーマに、旬素材を使ったホット惣菜・和風シチュー・秋の炊き込みご飯などが有効です。
6.価格競争と粗利益拡大の両立こそ、秋のMD戦略
中小スーパーが直面する最大の課題は、ドラッグストアやディスカウント店との価格競争。
しかし、“旬”を活かした秋のマーチャンダイジングこそ、値下げに頼らず利益を生む最良の手段です。
●「旬×テーマ」で価値をつくる
価格ではなく「提案」で勝つ。
“旬の味覚フェア”や“秋の寄せ鍋特集”など、季節のテーマで価値訴求を行うことで、
価格ではなく「共感」と「体験価値」でお客様の心を動かせます。
●「関連販売」で粗利益を底上げ
単品値引きではなく、「鍋つゆ+旬野菜+肉」「グラタンルウ+牛乳+旬のかぼちゃ」などのように、
組み合わせ提案による粗利益の積み上げを意識。
客単価が上がり、ロスも減り、結果として粗利益率が改善します。
●「旬」と「地元性」で差別化
秋のきのこ・果実・根菜・サンマ・栗などは、地場仕入れや産直コーナー強化で付加価値販売が可能。
“地元〇〇産さつまいも使用”“朝採れしいたけ”“旬のサンマ入荷”などのPOPで、価格以上の納得感を生み出します。
●「手づくり感」と「温かみ」でブランド化
大手量販では出せない“手づくり感”と“旬のぬくもり”こそ、中小スーパーの最大の武器。
店長の一言POPやレシピカードなど、“人の想い”を感じる売場づくりが、
結果的に最も高い粗利益を生みます。
7.まとめ:秋の売場は“旬と温度と情緒”で売る
秋のマーチャンダイジングは、単なる季節展開ではなく、“旬の温度”を感じさせる体験づくり。
お客様に「ここに来れば、旬の味覚と温かい食卓がそろう」と思ってもらえる売場を設計することが、
営業利益アップにつながります。 「旬を食べて温まる」「旬を見て感じる」「旬を買ってうれしい」——
そのすべてを演出できるのが、秋のスーパーマーケットの真価です。
2025年08月06日
「最低賃金1,121円」時代に、沈むスーパー?浮かぶスーパー? —— 運命を分けるのは“生産性”のちがい⁉
「1000円の壁」をすべての都道府県が超え、最低賃金の全国平均が過去最大の6%引き上げられる。
2025年8月、日本の賃金構造がまた一歩、大きく変わりました。
このニュースを聞いて、あなたはどう感じたでしょうか?
「もう、これ以上は厳しい」
「これでは採算が取れない」
「また人件費が圧迫される…」
きっと多くの中小スーパーマーケットの経営者が、そんな胸の内を抱えておられることでしょう。
ですが、いま私たちが本当に見つめなければならないのは、
「賃金を上げられない苦しさ」ではなく、「生産性を上げきれていない現実」ではないでしょうか。
■人件費の高騰は“外圧”ではなく“警告”
最低賃金の引き上げは、政治的な圧力によって決まったものではありません。
記事にもある通り、労使は「データ」を重視し、冷静な議論を経て引き上げに合意しました。
背景にあるのは、物価の上昇、生活コストの上昇、そして国民全体の「暮らしを守ってほしい」という切実な声です。
つまりこれは、政府や経済界からの“圧力”ではなく、社会全体からの“警告”なのです。
そしてその警告は、私たち中小スーパーの経営にもはっきりと届いています。
「仕組みで戦う」体制を築こうとする経営者にとっては“転機”となるはずです。
■「人手不足」は本当に“人”が足りないのか?
採用難、離職率の高さ、人件費の増大……
これらはすべて「人に依存しすぎた経営」が引き起こしている結果です。
・現場任せの売場づくり
・属人的な発注
・無駄な棚替え、非効率な品出し
それぞれは、日常の風景ですが、それが1日数十時間、1人あたり数万円分の無駄を生み出しているのです。
最低賃金が上がっても、売上が上がらなければ経営は苦しくなる一方です。
だからこそ今こそ、「人件費をコストとみなす時代」から「人件費を投資と捉える経営」へシフトする必要があります。
■最低賃金上昇が直撃するのは“生産性が低い店舗”である
- 発注は経験と勘任せ
- 売場はスタッフのセンス頼り
- チラシやPOPは属人的で非効率
- 品出しや棚替えに時間がかかりすぎる
これらの店舗運営は、“人に依存する経営”であり、
人件費が上がれば上がるほど、利益が削られていく構造です。
逆に言えば、「人手がなくても、一定の成果が出る仕組み」があれば、
最低賃金の上昇も怖くはありません。
■生産性アップの第一歩は「売場の標準化」
では、何から手を付けるべきか?
答えはシンプルです。
「売場の型」をつくること。
- 売場づくりの4P(商品・価格・展開場所・販促企画)を設計する
- 作業改善でムダを無くし、誰でも再現できる標準化した仕組みにする
- 発注点や在庫基準など、データを可視化(見える化)して活用する
- チラシや販促は「手間をかける」でなく「仕組みで効果を出す」に変える
- 売上ではなく、営業利益にフォーカスする
このように現場のオペレーションを「誰がやっても同じ成果が出る」ように整えることが、
人手不足と人件費高騰に立ち向かう唯一の道です。
■未来を変えるのは「今」の決断
あなたの店は、最低賃金1,118円時代に耐えられる経営になっていますか?
・現場は“汗”で回していませんか?
・店長やパートが“頑張り”で乗り切っていませんか?
・これから先、さらに賃金は上がります。
・労働力はますます減ります。
・競合はより価格で攻めてきます。
でも、嘆く必要はありません。
「生産性を上げる力」は、今この瞬間から鍛えることができます。
「うちの会社でも、やればできる」
そう信じることが、明日の利益を生み出す第一歩です。
■「人手がない」より「仕組みがない」ことの方が致命的
今、多くのスーパー経営者が「人がいない」「採用できない」と嘆いています。
しかし本当の課題は、“人がいなくても回る仕組み”をつくれていないことにあるのです。
- 生産性を上げて利益を確保する
- 教育と標準化で業務を効率化する
- データを活用して販促と在庫を改善する
これらは、すぐにでも始められる“現実的な改善”です。
■最低賃金1,118円時代を、追い風に変えるために
今後も最低賃金は上がり続けることが予想されます。
この流れに飲まれるか、それとも流れに乗るか。
その分かれ道は、「生産性」を軸に据えた経営改革ができるかどうかにかかっています。
「うちの店も、やればできる」——そう信じて一歩を踏み出した店舗から、
着実に利益改善を果たしています。
▼ご相談ください
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【関連動画】 YouTube SRCチャンネル ⇩⇩⇩⇩⇩⇩
【新谷千里の「生産性向上」総指南】儲かるスーパーにする方法 #68
2025年08月04日
売上と利益をつくり直す「3つの基本」 ――「正しい型」を知れば簡単に業績は伸ばせる
最近、こんな声をよく耳にします。
「お客様の来店数が明らかに減っている」
「売場に活気がない」
「何をやっても反応が薄い」
その原因を“値上げ”や“猛暑”のせいにしたくなる気持ちも分かります。
でも、本当にそうでしょうか?
どんな時代でも、売れている店はあります。
つまり、売上が落ちているのは「需要がない」のではなく、店側が“売上をつくる行動”が出来ていないだけかもしれません。
今こそ必要なのは、戦略やテクニックではなく、現場で実行できる具体策と、その第一歩を踏み出す行動です。
売上を動かすカギは、たった3つ。
それを、無理せず、素直に「やりきる」ことです。
売上を構成する3つの要素を、もう一度動かす
売上は、「客数」「客単価」「来店頻度」の3つの要素で成り立っています。
この3つは、業種や立地に関係なく、どんなビジネスにも共通する普遍的な法則です。
つまり、売上を上げたければ、
「新規や既存のお客様に、どう来てもらい、どう買ってもらい、どう繰り返し来てもらうか」
を意識的に仕掛けていくことが求められるのです。
売上を上げる魔法のような近道はありません。
でも、3つの基本要素を地道に整えることで、確実に売上は立て直せます。
次の3つの実践ポイントを、ひとつずつ自店に当てはめてください。
①「客数を増やす」
来店してもらわなければ、何も始まらない。
お客様の足を動かす“理由”を、店が意図的につくることが重要です。
どんなに良い商品や価格設定があっても、お客様が店に来なければ売上は生まれません。
「わざわざ行く理由」を演出することが、最初の一歩です。
▷ 情報発信を止めない
たとえば猛暑の今なら、LINE配信やSNSで「冷やし中華の簡単レシピ」「火を使わないおかず」など、“いま買いたくなる情報”を発信。
▷ 地域とのつながりを演出する
地元の学校と連携した「夏休み自由研究コーナー」や、「氷プレゼント抽選会」など、子どもを連れて来たくなる売場づくりも効果的。
▷ 体験のある売場に変える
冷たいスープの試飲や、簡単に作れる夏野菜料理の実演販売など、滞在時間と購買意欲を高める工夫を。
②「客単価を上げる」
“来たからには、しっかり買ってもらう”。
そのためには、買いやすく・選びやすく・納得してもらえる仕掛けが必要です。
売上を伸ばすには、客数だけでなく「1人あたりの購買額」も重要。
“ついで買い”や“グレードアップ買い”を自然に促す売場設計がカギです。
▷ “まとめ買い”と“ついで買い”の設計
冷麺コーナーに「錦糸卵」「きゅうり」「ごまドレ」「器用トング」などを合わせて展開。“買いやすさ”を設計することがポイントです。
▷ 上位商品の提案を恐れない
「ご褒美アイス」「ノンアルスパークリング」「国産果実ゼリー」など、贅沢ニーズは夏こそ高まります。価格ではなく“気分”に訴えましょう。
▷ POPで“理由”を与える
「冷奴+トマト+大葉で夏のビタミン補給」など、健康や時短をテーマに「ついで買い」を促すコピーが有効です。
③「再来店率(頻度)」を高める
“1回来たお客様”を“何度も来るお客様”に育てる。
そのためには、店の記憶を残し、習慣化を生む仕掛けが必要です。
リピート来店は、売上の安定化に直結します。
「また来たい」「また行こう」と思わせる体験やサービスが、長く選ばれる店をつくります。
▷ 曜日イベントでリズムをつくる
「月曜=サラダの日」「水曜=冷凍食品特売」「金曜=お惣菜セット10%オフ」など、お客様の習慣に入り込みましょう。
▷ パーソナルな発信を強化する
「〇〇さん、今週のおすすめは“時短冷凍炒め野菜セット”です」など、名前入りのLINE配信で親しみと信頼を育てます。
▷ “ここだけ”の強みを深める
地元の夏野菜、昔ながらの味噌、地元港直送の鮮魚など、「この商品はこの店でしか買えない」という要素を、再来店のフックをつくりましょう。
「今までと違う何か?」一歩踏み出す勇気が、結果を変える
売上は
客数 × 客単価 × 来店頻度――
このシンプルな数式は、いつの時代でも変わりません。基本原則なのです。
高級スーパーでも、ディスカウント店でも。なんの特徴もない普通の店でも・・・。
そしてこの3つは、現場の力で確実に動かせるのです。
大きな投資や劇的な仕掛けは不要です。
「一枚のPOPを工夫する」
「売場の展開を少し変える」
「ひと声かけてみる」――
そんな小さな積み重ねが、数字と空気を動かします。
いま必要なのは、「出来るか・・・」ではなく、「やるか!」です。
あなたの店の未来は、あなたの一歩から始まります。
あなたの行動が、店の売上を、チームの空気を、そして自分自身を変えていきます。
ぜひ、今日から始めてみてください。
きっと、結果が変わるはずです。
【最新動画】 YouTube SRCチャンネル ⇩⇩⇩⇩⇩⇩
【マージンミックスで賢く稼げ】 儲かるスーパーにする方法 #71
「売上はあるのに利益が出ない」そんな悩みを抱えるスーパーマーケットの現場に必要なのが、“相乗積”と“マージンミックス”という視点です。
本動画では、部門・品目ごとの構成比と粗利益率を掛け合わせて店舗全体の粗利益を予測・改善していく「マージンミックス」の考え方と、実際の売場でどう活用すべきかを事例を交えて詳しく解説します。
こちらをクリック ⇒【マージンミックスで賢く稼げ】儲かるスーパーにする方法 #71
2025年05月14日
パート社員の“覚醒”が店舗利益を変える 〜データ活用が現場に火をつけた瞬間〜
スーパーマーケット経営の現場で、もっとも身近で、そして見落とされがちな改善資源。それが「パート社員の成長」です。
現場に根を張るその存在が、ほんの少しの気づきと手ほどきで、大きな利益改善をもたらすことがあります。
今回は、畜産部門でのあるパート社員との対話から始まった、利益改善の兆しをお伝えします。
「データなんて見たことがありません」から始まった一歩
ある地方のリージョナルチェーンにおいて、私は畜産部門の作業改善を支援していました。テーマは「加工指示書の仕組み化」 。
鶏肉を担当するベテランのパート社員に、「POSデータ(販売実績データ)を見たことがありますか?」と尋ねたところ、返ってきたのは「見たことがありません」との答え。
この瞬間に、私はチャンスを感じました。
すぐにチーフとパート社員に「10分ほどお時間をもらえますか?」と確認し、了承を得て、店長・バイヤーにも同席してもらい、事務所で実際のデータ画面を一緒に確認することに。
パート社員はパソコン操作に不慣れながらも、操作手順やデータの見方を熱心にメモ。慣れない作業に緊張しつつも、前向きに学ぼうとする姿勢が印象的でした。
現場にいる“人材”という戦略資源
「人材」という言葉は少し堅苦しいかもしれません。ですが、このベテランパート社員のように、毎日まじめに働いている方の一歩が、実は店舗の利益に直結する「戦略」になり得るのです。
この店舗の鶏肉部門で、売れ筋商品の欠品が防げれば――。
無駄な加工を減らし、廃棄ロスを抑えれば――。
ほんの少しの改善でも、年間で数百万円単位の粗利益改善が見込めます。そしてこの利益は、販促費などに依存しない“純粋な営業利益”として残る可能性が高いのです。
変わるのは、数字だけではない
もうひとつ重要なのは、「行動の変化」です。
このパート社員が、朝一番に自らデータを見て帳票を出し、加工量や発注量の調整を行うようになったとしたら――その意識や姿勢、行動は確実に変わっていきます。
そして、チーフや店長がそれを共有し、一緒に成果を喜ぶような関係性が築かれれば、さらに前向きな改善の循環が生まれます。
やる気が引き出され、仕事への自信がつき、最終的にはその人の人生の充実度にもつながっていく。決して大げさではなく、これは現場の“可能性”そのものです。
スキルより先に、やる気を引き出すことから始めよう
私は業務改善コンサルタントとして、仕組みや手法を提供していますが、最後に成果を大きな生み出すのは「人のやる気」です。
いくら優れた仕組みがあっても、それを活かす“気持ち”がなければ、現場は変わりません。
そして今、スーパーマーケット業界が直面している人手不足・賃金高騰という問題も、一人ひとりの成長によってこそ解決への道筋が見えてきます。
まず- 人に、寄り添ってみることから
今回の事例は、決して特別なことではありません。
皆さんの店舗にも、同じようなベテランのパート社員がきっといらっしゃるはずです。
ぜひ、まずは一人のパート社員に寄り添い、「一歩進むきっかけ」をつくってみてください。
その小さな変化が、売場を変え、数字を変え、チームを変え、会社の未来を変えるかもしれません。
【図解】パート社員による業務改善フロー図(イメージ)

✅ ポイント
データを見る → 自ら考える → 改善する → 成果が出る → 褒められる → もっと頑張る!
このポジティブサイクルが、チームと店舗を前向きに動かします。
【導入・実践マニュアル】
パート社員の“成長スイッチ”を入れる5ステップ
■Step 1 まずは「一人」に注目する
全員を変えようとせず、まずは信頼のおける一人のベテランパートに焦点をあてましょう。
「毎日頑張っている、あの人なら」と思える人を選ぶのがポイントです。
■Step 2 一緒にBOSSデータを見る時間を作る
朝の落ち着いた時間帯に10分ほど、事務所でデータを一緒に見てみる時間をつくります。
「この画面はこうやって見るんですよ」「この帳票が発注の判断材料になります」と丁寧に説明をする。
■Step 3 操作方法は紙に落とし込む
マニュアル化がカギです。
「この順番でやれば見られる」「印刷はこのボタン」など、紙1枚に簡潔にまとめた操作ガイドを用意しましょう。メモ魔のパートさんには、書かせることで理解も深まります。
■Step 4 現場で活用 → 小さな成功を見逃さない
データを見て「加工を1kg減らしてみたら、ピタッと売り切れた」などの小さな成功体験を拾ってあげましょう。
そのときに、「すごいやん!」と、声をかけることが最大の推進力になります。
■Step 5 成功体験はチームで共有する
成果が出たら、店長・チーフ・他のスタッフにも共有しましょう。
「○○さんのおかげで、昨日ムダなく売れました」
このひと言が、本人にとっては何よりの報酬になります。
📌補足ヒント
- 改善は「制度」ではなく「関係性」がつくります。
- パート社員の“成長の見える化”は、育成と評価の第一歩です。
- 「仕組み化」は属人化からの脱却にもつながります。
2025年05月10日
マンネリのベテラン社員が「覚醒」する瞬間
~結果を出せないチーフが変わった理由~
先日、クライアントのスーパーマーケットに、業務改善の担当部長と青果部門のバイヤーとともに訪問しました。
車中で、訪問先の店舗状況についてバイヤーにヒアリングしたところ、次のような話がありました。
- 「売上が伸び悩んでいる」
- 「在庫は少ないけど、売上が取れていない」
- 「粗利を取るために守りの売場になっている」
店舗に到着して売場を見渡すと、私は、すぐに違和感を覚えました。
- 「売れる売場になっていない」
- 「季節感がない」
- 「何を売りたいのか、まったく伝わってこない」
売るべき商品が、売れていない
本来、売り込みたい商品は平台のエンド、いわゆる「マグネット売場」に展開するのが基本です。ですが、そのコーナーには売上下位の商品や、旬を過ぎた商品が並んでいました。
視認性が高く、集客効果の高い場所に、売れる商品を置かない。これでは当然、売場効率も下がってしまいます。
そもそも、
- 今売りたい商品(商品ライフサイクル上の注力商品)
- 季節の主力商品(来店客に響く定番品)
- 政策的に打ち出す必要のある商品
といった【売場の優先順位】が、まったく整理されていないのです。
固定観念が「売れない原因」になる
私は青果チーフにこうした問題点を伝えましたが、返ってきた言葉は、
「うちの店は高齢者が多いので、柑橘類がよく売れるんです」
というものでした。一見もっともらしい説明ですが、聞けば聞くほど、実態とズレている感覚が強まりました。
その場で、私はバイヤーに「この店の野菜と果物のベストレポート(販売実績表)」を出してもらいました。
結果は――
チーフが「売れている」と思い込んでいた商品と、実際によく売れている商品はまったく違っていたのです。
経験が邪魔をする瞬間
長年の経験があると、「昔はこうだった」「この商品はうちでは鉄板」といった【固定観念=バイアス】が無意識に染み付いています。
しかし、時代は変化しています。
気候も変われば、商圏人口や構成も変わります。当然「売れる商品」「売れるタイミング」も変化します。
だからこそ、POSの実績データを使って売場を管理することは、今や必須のスキルなのです。
「覚醒」のきっかけは、事実と気づき
その後、売場の数カ所を一緒に見直しました。
直近の実績データ(ベストレポート)を確認しながら、事実と重いとのズレを説明しながら改善点を説明しました。
私は売上ナンバーワンのトマトの売場で、「このトマト、売場改善すれば売上200%になるかもしれませんね」と声をかけると、チーフは笑いながらもこう答えました。
「200%は難しいですが、120%や130%は狙えそうですね」
このとき、明らかにチーフの表情に変化がありました。
「守りに入って何もしない」と言われていたチーフが、手応えを感じ、前向きになった瞬間でした。
私は気になった苺とカットフルーツの冷蔵平ケースの売場を修正して見せました。無駄なダミーを外し、ベースを再設定し、陳列を簡素化して整えたところ、チーフはこう喜びました。
「この陳列、悩んでたんですよ!すごくやりやすいですね。掃除もしやすくなりそうです」
このときの一言は、私にとっても嬉しいものでした。
仕事を「楽に・早く・楽しく」できるようにする――まさに、私の支援の目的が達成できた瞬間でもあります。
大切なのは「仕組み」と「きっかけ」
今回のケースは、どのスーパーにも起こり得る話です。
ベテラン社員、チーフ、店長、パートさん――。
誰もが「今までのやり方」から抜け出せなくなることがあります。
でも、少しだけ頭を柔らかくすれば、「もっと良い方法」は必ず見つかります。
そしてその方法の多くは、「簡単に・楽に・早く・結果が出る」ものなのです。
本当に必要なのは「知らなかった」をなくすこと
「できない」のではありません。
「やり方を知らなかった」「気づいていなかった」だけなのです。
だからこそ、上司や会社がやるべきことは、“やる気を引き出す仕組み”をつくること。
チーフが前向きに変わったように、実績が出ていない社員でも、やり方さえ伝えれば結果は出ます。
現場に眠る力を信じて、もう一度向き合ってみてください。
最後に
今、日本中のスーパーが「原価高」「人件費高騰」「人手不足」に直面しています。
だからこそ、一人ひとりが成長し、「仕事のやり方」を進化させていくことが何よりも重要です。
そして、何も教えてあげなかったら。
上司が、「あいつは出来ない」と決めつけていては、会社もベテラン社員も人生の大切な時間をムダにしてしまいます。
現場には、まだまだ改善の余地があります。
そして、それは「大きなチャンス」であり、「未来の利益」そのものなのです。
2024年08月19日
3年連続赤字のスーパーが、1年で急回復‼ 1000万円以上の黒字化を実現した『たった2つの方法』
今回は、私のクライアントの直近の事例を紹介したいと思います。
3年間、大幅な赤字が続いて債務超過に陥っていた地方の小さな会社が、1年で1000万円以上の営業利益を出してくれました。前年対比の増益額は数千万円に上ります。
この事例を聞くと、血の出るような痛みを伴ったコストカットのような大改革をやったのでは・・・。と、思われる方も多いのではないかと思います。
しかし、全くそういうことではありません。
そういうことをしたところで、短期的には黒字化するかもしれませんが、中長期で見たら戦力も低下してしまい、長続きする話ではありません。場合によっては会社自体の存続が危うくなってしまうことも十分考えられます。
遣ったことは、至ってシンプルで簡単な行動です。
■基本中の基本を「ただ実行してもらった」だけ
今回の改善方法は至ってシンプルで、「基本中の基本」をただ実行してもらっただけです。
しかし現在、全国に多く存在する、経営不振の中小零細のスーパーマーケット(SM)のその多くは、その「基本を知らない」のです。
また、知っていても「実行してない」という企業がほとんどだと私は思っています。
もちろん、凄まじい競争の中で必死に経営している中小スーパーもあります。
しかし、その「問題の解決策は、外部要因ではなく、内部的な課題を改善するだけで、営業利益を大幅に拡大できる」場合が少なくないのです。
今回の記事は、そのような事例とご理解ください。
ちなみに、私のコンサルティングでクライアントに伝えていることは、作業を「簡単に楽に早くする」というキーワードです。
朝から晩までしんどい思いをして、休みも少なく、低賃金で働くようなことを続けていても、誰もやる気で仕事をしてくれる人なんかいません。
そのこと自体が、生産性を低下させ、売上と利益も確実に低下する方向に向かいます。
■営業利益を大幅に拡大した、その1の方法【粗利益の改善】
今回行った改善点は、大きく二つです。
一つ目は、粗利益率の改善です。
粗利益の改善に対して、多くの企業で問題を抱えていることも少なくないと思います。今回の事例の会社は、たった3ヶ月間程度で生鮮4部門の荒利益が、その全てにおいて大幅に改善しました。
営業利益の拡大は、値入を高めることと、ロスを減らすことになるのです。
しかし、もう一つ重要なことがあります。
それは、「粗利益率はこんなものだ」と思い込んでいることです。
ほとんど何の根拠もないのに、です。
今までの経験や勘で決めているのです。規模が同じくらいの会社と比べて「他所と同じくらいとれている」と、変に安心しているのです。
また、よくある質問の中で「業界的にはどれくらいの粗利益ですかね?」と聞いてくる経営幹部もまた多くいます。
しかし、この「業界標準」というのが全く当てにならないのです。
なぜならば、ある程度大きな企業に絞られた数値のその平均値であること。
そして、それ自体会社によって振れ幅が大きく違う。
当然、会社の戦略によっても違うし、強みや弱みによっても違ってくる。
これを平均値で出して、それを参考にすることが、何かの役に立つでしょうか・・・?
私は、全くとは言いませんが、ほぼほぼ役に立たないと思っています。
なぜなら、立地も違えば、競合状況も違います。
また、現場では、高く売れば「売れないのではないか・・・」と思い込みです。
また、売上を伸ばさなくてはいけないので、多少粗利予算を下げてでも売上を取りに行く。
「売上が上がればなんとかなる・・・」と考えている経営者も少なくありません。
ところが、実際には、その思い込みによって、本来取れるべき数字(粗利益)が取れない企業が、とても多いことに気づきます。
■頭の中を『利益を取る』目的に切り替える
予算(粗利益率)でいつもより高い設定をして、それが達成できない場合、すぐ諦めて元に戻す。このパターンの会社はとても多いのではないかと思います。
そして、基本的な話で値入れの話にしても、売価設定自体が「これでないと売れないではない」と考えてしまっている。
そこには実践的マーケティングの知識もなければ、実践もない。
高くても物は売れるし、お客さんに納得して買っていただけます。
その仕組みを作ることがマーケティングです。
NB商品などのコモディティー商品は別として、生鮮品や和日配品など、勝手に売る側の思い込みによって、ただただ安売りをしているのではあまりにも勿体ないと思います。
お客様に「価値を伝える」「買う人の背中を押す」など、マーケティングの知識の習得と実践活動の努力で、適正売価での販売を考えるのです。
■営業利益を大幅に拡大した、その2の方法【部門別損益管理】
二つ目は、部門別損益管理です。
店別部門別の損益計算書を作成して、現状の営業実績のカルテを作って改善課題を明確にするのです。
損益計算書ですが、店別・部門別損益を出して管理運営しているSMは、本当に少ないと思います。
中、小零細SMに至っては、ほぼほぼやってない会社が多いと感じます。
たまに「遣っている」という会社がありますが、戦略的に活用されていません。
店舗全体で粗利益が低い高いと言ったところで、
「どこに原因があるのか」、
「どこを直せばいいのか」、
「どこを優先すればいいのか」、
ということが基本的に分からないのです。
分からないということは、憶測で改善行動を行うことになります。
的外れな無駄な計画を立てることにもなります。
その成功の確率は限りなく低くなれます。
それを毎年毎年繰り返してしまうのです。
結果的に、ムダな行動は、時間とお金をムダに使ってしまうことになります。
これでは、正しい経営はできませんし、業績は上向くことは望めません。
必要なことは、実績値を正しく読み込むこと、そして達成可能な予算を立てることを合わせて考えることで、ムダの少ない改善行動が取れることになります。
今回の事例の場合、グロッサリー部門の営業損益に大きな問題があり、粗利益率が極端に低く、大きな赤字に陥っていました。現在、品揃えを見直し、ゾーニングや品揃え、棚割の改善を進行中です。
各部門の実績と、改善すべきポイントに対して優先順位をつけて改善を行った。これがこの会社の行った活動です。
■競合を考える前に、自店をお客様目線で見直す
最初に申し上げたように、この会社の改善課題は大きく二つ。それを行っただけで、競合店対策や売上を上げるためのマーケティングの大きな仕掛けを実行したわけでもありません。
よく言う「敵は内にあり」と言う典型的な話です。
でもこのことは、全国の中小零細のSMで多く見られることでもあるでしょう。
3年間も毎年毎年大きな赤字を出し続け、最初に損益計算書を見て、私ははっきり言って冷や汗をかくほど愕然としました。
正直、「本当に改善できるだろうか」と思いました。
しかし、確実に現場は実行してくれて結果を出すことができたのです。
■正しく行動すれば、どこの会社にもチャンスはある
今回、私がこの事例を紹介したのも、中小零細のSMも、正しい行動を起こせば、短期間に大きな成果を出すことができるということ。
そして、諦めムードでやっていた会社の運営が、180度大きく転換できることを理解してほしいと思ったからです。
今回の会社においては、店内照明の取り替えなど、今までやりたくても出来なかった設備投資を実行することが出来るようになって来ています。
何と言っても、経営者と現場で働くメンバーも明るく仕事に取り組んでもらっています。
これから、マーケティング戦略に軸足を移し、地域のお客様にさらに喜んでいただけるように地域一番店を目指して頑張ってもらいます。
やっと、スタートラインに立てたのです。
これからは、「実践的マーケティングの実験を繰り返す」という、楽しい仕事をやってもらいます。
2024年08月05日
「人手不足と賃金アップ」ピンチをチャンスに変える‼ 中小SMの業務改善:実践事例
「なんぼ募集しても、応募は全く有りませんわ・・・」
先日、訪問の折、クライアントの社長からのため息交じりの一言です。
賃金が確実に上がり、最低時給程度で募集を掛けても何の反応もない・・・。人手不足は、多くの人員を必要とするスーパーマーケットでは深刻な問題です。
中小零細のSM(スーパーマーケット)企業では、
①給与の低さ
②長時間労働の慢性化
③土日や祝日の休暇の取りにくさ
などの問題を抱えている場合が多いと思います。
ITが進化し、就職のための会社情報が簡単に集められる現在、これと言った対策を何も講じていなければ、従業員の採用は非常に厳しいと言えます。
そして、少子高齢化で確実に減り続ける働き手。地方では人手不足で閉店を余儀なくされた店舗も出てきています。
IT関連など、生産性の高い仕事への構造的な労働力移動も考えられる現代。打つべき課題はある程度ハッキリしていると私は考えています。
【8月2日、日経電子版】の記事から
(前略)
青森市内のあるスーパーが営業を終了したとある。担当者は「企業努力だけでは解決の見通しがない」と嘆く。求人広告を出しても応募がほとんどなかったという。人手不足を理由とした閉店だ。
(中略)
23年の就業者は6747万人。各年代の就業率が変わらない前提で試算すると、24年は全体の0.5%にあたる30万人超が減る。これからは毎年30万〜70万人の自然減が見込まれ、就業者は30年に6500万人、60年は4900万人となる。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)によると15〜64歳の生産年齢人口はピークの1995年に比べて23年は15%減った。それでも女性や高齢者の労働参加で、就業者は約300万人増えた。
その働き手の「予備軍」は枯渇が近づく。今は職に就かず仕事を希望する人は、15歳以上の3.7%に過ぎない。03年の8.0%の半分以下と大きく減った。
企業は次の一手を打つ。イオンは24年度からグループ40社で、同じ業務を手がけるパートの待遇を正社員と同等にする制度を順次導入する。総合スーパーを展開するイオンリテールの場合、昇格試験に合格し、月120時間以上働くことが条件となる。売り場責任者として約150人が登用され、一部地域では年収が2割程度上がったという。
同社は4月末、人工知能(AI)の業務システムを導入した。40万人いるすべてのパートにAIを活用する研修をしたうえで、1週間から1カ月先までの販売計画を各店でつくる。リスキリングで生産性を高め、中核業務をパートに移す。
(中略)
正社員に比べ景気に左右されるパートは賃上げの動きが急だ。5月のパートタイム時給は前年同月比4.1%増と、正社員基本給の2.6%増を上回る。よい時給を提示しないと、人手は確保できなくなった。
人手不足をチャンスに変える生産性アップという賢い考え方
日経新聞の記事にもあるように、スーパーマーケット業界は深刻な人手不足に直面しています。
そしてこれは、今現在の短期的な問題ではなく、構造的に今後も続くと理解しておく必要があります。
このことを前提にすれば、中小零細SMは、現状の店舗運営自体を完全に一から見直す必要があります。
そして、生産性を高めるための行動を起こす絶好のチャンスであると前向きに考えてほしいと思います。
本記事では、人手不足を克服するための具体的な実践方法のその一部を紹介します。
1. 在庫削減、適正化
生産効率に大きく関わるのが在庫です。
①鮮度の高い商品を顧客に届けるという視点
②店内物流の高い効率を実現する
という2つの視点から、在庫を科学的に適正に管理することが求められます。
基本的には、ジャストシステム(必要なものを、必要な時に、必要なだけ)を念頭に、ムダな在庫は持たないことが重要です。
【具体的な事例】
①バックルーム在庫
基本的には、ゼロにすることを考える。
在庫が過多であると、ムダな移動や片付けなどの作業が発生する。また、生鮮品を中心に鮮度低下や見切りや廃棄の商品ロスと作業が発生する。
これら全てが、ムダな作業とコストが発生して生産性を確実に低下させる。
②定番在庫
POSや季節指数データなどを活用して、適正陳列量を割り出す。
売れ筋商品は出来だけフェイシング数を拡大し、陳列在庫を増やす。売れ行き不振商品は、改廃のスビートを早める。
商品ごとに、補充作業を減らす視点と回転率を高める視点とを持つこと。
③在庫処理
生鮮品はもとより、日配品やグロサリー商品においても、見切りコーナーを特設して早期に取り掛かり、短期で処理してしまうこと。基本的に廃棄を起こさないこと。
2.作業プロセスの見直しと標準化
まずは、店舗内のすべての業務プロセスを詳細に見直しましょう。 各業務のステップを洗い出し、ムダに行っている作業や重複しているタスクを特定します。
これを基に、標準化された手順書(※1マニュアル)を作成し、全スタッフが一貫した方法で業務を行えるようにします。
これにより、作業の効率化と品質の均一化が図れます。
特に、『人時売上高を向上させる』という考え方と視点が重要になります。
※1紙よりも、動画で作成するほうが、作成時間を短縮でき、理解力も高められる。
①発注業務
販売計画をもとに、POSデータ(売上、販売数量、商品ロス、販売推移など)を検証し、発注点(在庫)とリードタイムを勘案して予測数量を割り出す。欠品や過剰在庫を起こさない適正量を発注する。
発注の出来不出来で、店内作業工数を左右し生産性に大きく関わるため、担当者のスキルアップ計画も重要となる。
②商品化業務
加工指示書を作成し担当者の待機時間を無くし、ジャストシステム(必要なものを、必要な時に、必要なだけ)で加工する。
作り過ぎを無くすことが重要。
③補充作業
商品の補充作業を標準化し、具体的なガイドラインを作成することで、新しいスタッフでも迅速かつ正確に陳列できるようにする。
特に、カートの効果的な活用や両手作業、処理時間など動作経済を意識する。
これらは重要な改善対象課題となり生産性に大きく関わる。
3. 自動化とテクノロジーの活用
最近のテクノロジーの進化は、スーパーマーケットの業務を大幅に効率化するツールを提供しています。
例えば、セルフレジや電子棚札、在庫管理(自動発注)システムなどを導入することで、スタッフの負担を軽減し、顧客満足度も向上します。
特に在庫管理システムは、リアルタイムで在庫状況を把握できるため、無駄な在庫を減らし、欠品も防ぐことができます。
【具体的な事例】
①セルフレジ、セミセルフレジ
セルフレジやセミセルフレジなどを導入することで、顧客自身が会計を行い、スタッフのレジ業務負担を軽減し、レジ部門全体としての人時数を削減する。
お客のレジ待ち時間の不満も大幅に改善できる。
②電子棚札
電子棚札を導入し、価格変更を一斉に行うことで、POPの差し替えや確認作業など売価変更作業を省略し、作業人時を節約する。
③自動発注システム
POSシステムと連携した在庫管理システムを導入し、推定在庫をリアルタイムで追跡することで、設定した発注点(在庫)から自動で発注を行うことで、欠品や過剰在庫を防ぐ。
また、これに関わる単純作業の人時を削減する。
4. 店舗レイアウトの最適化
店舗のレイアウトも、ムダを削減するための重要な要素です。
商品の配置を見直し、顧客が効率的に買い物できるようにすることで、スタッフの業務効率も向上します。
また、作業動線の最適化によって、スタッフがより効率的に作業できる環境を整えることが可能です。
【具体的な事例】
①カテゴリ別(用途関連)の配置(ゾーニング)
顧客が一箇所で関連商品を見つけられるように、商品カテゴリ(用途関連)ごとに配置をまとめる。
②レジの配置
レジを客動線が長くなるように配置(通常、青果側)し、顧客が店舗全体を効率的に回れるようにする。
③バックヤードの配置
バックヤードの作業動線を最適化(基本、短く)し、スタッフのムダな移動が発生しないように、各バックルームと什器や設備の設置を科学的に行う。
5. パート社員のスキルアップ
簡単な単純作業を処理するための単純労働者としてではなく、戦略実現のための人財として活躍してもらうことを念頭に置きます。
パート社員の研修を充実させることで、高い技術を有した即戦力として活躍してもらうことが可能になります。人時売上高と生産性を高めるためのプロセスを設計して実行します。
また、必要な時間帯には高い時給を支給することも、売り逃しを減らし売上高を高めるためには重要なことです。
【具体的な事例】
①基礎作業の処理能力アップと主体業務へのシフト
単純作業への投入人時削減のための訓練を行い、その実行レベルを高めること。
販売計画や発注、営業POPの作成や試食販売など販売力を高める人材として登用する。
②マルチタスク化
陳列や品出し、商品加工やレジなど、一人で複数の仕事を受け持つマルチタスク化を推進する。必要に応じて柔軟に配置をコントロールする。
③人事考課
基礎業務、戦略業務(目標)に対して、その出来栄え(貢献度)に応じて公平に評価し、個人の次の目標設定を行うという、やる気の出る人事考課制度を整える。
6. チームコミュニケーションの強化
スタッフ間のコミュニケーションを強化することも重要です。
定期的なミーティングや情報共有の場を設けることで、戦略の実行状況や問題点の早期発見など、迅速な対応が可能になります。
また、スタッフ一人ひとりの意見を尊重し、働きやすい環境を作ることで、モチベーション向上にもつながります。
【具体的な事例】
①朝礼・夕礼の実施
毎日の朝礼や夕礼を通じて、当日の業務内容や注意事項を全スタッフと共有する。必要に応じて課題設定と修正も行う。
②フィードバック制度
定期的なフィードバック制度を導入し、スタッフの意見や提案を積極的に取り入れる。
③チームビルディング活動
「各メンバーの持つ経験や能力を最大限に発揮して、チームの目標を達成出るチームを作り上げる」というチームビルディング活動を定期的に行い、スタッフ同士の信頼関係を深める。
【 結 論 】
人手不足は確かに大きな課題ですが、それを解決するための方法は数多く存在します。
店舗内のムダを徹底的に排除することは勿論ですが、本部の指示命令系統で店内工数を増やしてしまう事例も少なくありません。
サプライヤーなど利害関係者も含めた徹底したムダの撲滅を図る業務改善を進めることで作業工数を減らし、人手不足を解消することも十分可能です。
また、改善が進まない一番の原因が、今までの作業方法に捉われて「できない理由」をいうベテラン社員がボトルネックになる場合もあるでしょう。
「高い時給を提示しないと、人手は確保できない」ということを念頭にして、
①ムダな作業を例外なく減らす
②スキルアップ計画を確実に実行する
など、新しいアプローチで店舗と本部の運営を見直してみましょう。
高い生産性を実現することで、従業員の高い報酬を実現することが出来ます。
徹底して例外なしのムダ取りを考え実行しましょう。
内部の課題や問題は「意外に解らない」という経営幹部も少なくありません。
その場合は、経験豊富な専門化の意見を聞くという柔軟性も重要です。







