スーパーの業務改善入門

2015年12月16日

人件費高騰と人手不足をチャンスに変える!

景気が回復傾向にあります。

そのことにより、都心部では人手不足が深刻な問題となってきており、地方都市においてもジワジワとそれを肌で感じ取れるようになってきています。 このことは、企業にとってピンチでもありますが、改善意識の高い企業にとっては、生産性向上のためのきっかけになる大きなチャンスであると思います。

ただ、旧態依然として、今までのやり方を変えられない企業にとっては、急速に厳しさを増すことになるのではないかと思います。

ぜひ、生産性を向上させるための良い機会と捉え、業務改善をスタートさせていただきたいと思います。

 

今後取り組まなければならないこと

厳しい商環境に打ち勝ち、今後も経営を発展させるためには、 ⇒お客のウォンツ(欲しい)のニーズに答えるべくマーケティング(差別化)に磨きをかける ⇒社内全体の生産性の向上をはかる ことに努力しなければなりません。

これらが実現できなければ、今後、利益率の低い企業は、相当厳しい環境で経営を続けなければならないことになるでしょう。 特に、スーパーマーケットにおいては、人件費率の高い業態であり、人時生産性を向上させるということが、経営基盤を確実に強くすることになります。 よって、投入人時に対する創出価値の最大化を計画的に行うことが重要である、ことの認識が必要です。

 

人時生産性の持つ意味と意義

上記のように、スーパーマーケットについては、人時生産性が低いということは大きな問題です。 人時生産性が低いということは、 企業側では、人件費率(人件費÷売上高)や労働分配率(人件費÷粗利益率)が高くなってしまっている状態のことです。 逆に、働く従業員側にとっては、貰っている給与(時給)が低いという状態のことです。

世界的にも、日本の労働生産性は高くないと言われるようですが、多くのスーパーマーケット企業も例外ではありません。 そして、このことに対して、これまで、大した改善努力をしてこなかったということが言えます。(私のコンサルティングの経験からですが・・・) 他の業態に比べて人件費率が高いのがスーパーマーケットですから、人時生産性を向上させることは、営業利益の大幅な向上に繋がります。 優先順位を付けて、オペレーション(作業と仕組み)の改善に取り組むことを強くおすすめします。

今後、オペレーションの出来不出来が、競争優位を間違いなく大きく左右します。

 

時給が高いことは、本質的な問題ではない!

従業員の時給が高くなることは、基本的な問題では有りません。 個人やチームとして、『時給に見合う生産性を上げていないこと』が問題なのです。 多くの企業が、そのことに気付いていない。 また、その方法が分からない。 結果として、その為の改善努力をしていないのです。

人時生産性のアップのためには、 1.現状の粗利益高を、今より少ない人時(人件費)で達成させる 2. 〃 人時数(人件費)で、粗利益高を今より拡大させる 3.投入人時(人件費)を拡大して、それ以上の粗利益高を拡大させる などの方法があります。

収益性が低下すると、どうしても、上記の1の方法(リストラ)を考えがちですが、人時生産性の低い企業では、時間の経過とともに高い確率で、企業の弱体化に繋がってしまう場合が殆どです。 低賃金、低生産性では、企業の発展は望めません。

当然、2や3のように、生産性を高める方向で考えるべきです。 生産性を高めることができれば、確実に賃金を高めることが可能となります。

 

人が集まらない理由

最近、「時給を高くても人(社員)が集まらない」という、経営層や現場の店長の声を耳にします。 一番の原因は、払う時給が他社と比べて低いからでしょう。 それと、地域において、何らかの理由で、その企業の人気が低いことも考えられます。

作業性や仕組みづくりができていないために、人時生産性の低い企業では、従業員に高い給料を払うことは出来にくいと言えます。

人時生産性=粗利益高÷投入人時数ですから、現場で働く従業員が稼ぎ出す一時間(人時)あたりの粗利益高が高くなければ、会社も、そのことに対する見返り(時給アップ)は、限定的にならざるをえません。 従業員側も、「給与が低い」と文句を言っても、稼ぎ高が低いのですから、上がる可能性は低いと理解しなければなりません。

しかし、ほとんどの会社でこの当たり前が、理解されていないのが実情です。(例外はありますが・・・)

 

人時生産性は、時間の生産性

人時生産性は、会社全体として、一人時あたりの付加価値をどれくらい生み出したか、ということです。

人時生産性を向上させる方向性は、2つあります。 一つは、一時間あたりの『単純作業の量を増やす』ことです。 補充品出しや加工という様な、時間あたりの処理量を求められる作業の処理量を、全体として増やすことです。 一つひとつの商品が、低利益であっても、時間あたりの処理量が多ければ、全体としての利益のボリュームがアップします。

もう一つは、『付加価値作業の質を上げる』ことです。 販売促進計画や商品開発など、付加価値を生むような、一般的に、作業ではなく業務と言われるものです。 会社全体の利益や、顧客生涯価値(顧客が長期間買い物を続けてくれることによって得られる利益)に繋がるような業務のことです。要するに量ではなく質が問われるものです。 営業マンの役割である『売るPOP』や『販売量を伸ばす試食販売』などもこれにあたります。

確実に生産性をアップさせるためには、全ての作業を棚卸しして、『量』で生産性を上げるものと『質』で生産性を上げるものとに仕分けします。 そして、効果性の高いものから、戦略的に改善を加えるのです。また、優先順位や役割分担が重要な要素になってきます。

 

高い時給を設定できる仕組みづくり

人時生産性をアップして、これまでと同じ人時数で、多くの付加価値を生むことを考えてみてください。

何度も言いますが、時給が高いことが問題ではなく、人時当たりの生産付加価値の量が問題であることは、ご理解いただけたと思います。 今後も続く、人件費高騰と人手不足。 正しい理解と目的を持った改善行動が、半年後、一年後の会社の体力を大きく左右することは、間違いありません。

 

戦略策定、改善方法など分からなければ、すぐにサミットリテイリングセンターへご連絡ください。 あなたの会社にとって、『人という財産』を作り上げる大きな力になることをお約束します。



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■生産性の向上に舵をとれ! ⇒http://www.summit-rc.com/blog/2770/
■会議の生産性アップで、スーパーマーケットが変わる! (前編) ⇒www.summit-rc.com/case/2714/
■会議の生産性アップで、スーパーマーケットが変わる! (中編) ⇒www.summit-rc.com/case/2724/
■会議の生産性アップで、スーパーマーケットが変わる! (後編) ⇒www.summit-rc.com/case/2719/


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