スーパーの業務改善入門
2019年11月13日
業務改善で結果を出す、リーダーの『仕事の仕方』⁉【商人舎WEBコンテンツ11月号・原稿】
今回は、業務改善で、良い結果を出すためのリーダーの行動について、事例を交えて解説したいと思います。
私のクライアントの事例です。
このクライアントのある部門は、営業利益改善を目的とした業務改善を行っています。
作業改善や在庫削減、売場改善と実践的マーケティングなど、業務改善の“ド定番”を実践してもらい4ケ月が経ちます。
売上は、まだ世間並の伸びですが、粗利益率が少しずつアップしてきて来ました。
そして、5ケ月目、大きな期待をして、実績数値が出るのを待っていました。
ところが、月々順調に伸びてきた粗利益と営業利益が、急にダウンしてしまったのです。
前年の実績に対しては、アップしていますが、期待していた数値とは、大きくかけ離れています。
その原因は、各チーフ、各バイヤーのこともあるのですが、一番の原因は、店長や商品部長といったリーダーの行動でした。
良い結果を出せるチームと、そうでないチーム。何が違うのか。
そして、何をすれば良いのか。
店長や商品部長などのリーダーが、遣るべき仕事を確実に行っているかで、業績に大きな差が出てきます。
多くの企業で、このことを正しく理解していない場合が多く見掛けます。
私のコンサルティングの経験から、10人の人がいれば、1人か2人は、新しいやり方を教えると、実践して、結果を出し、目覚ましく変化(成長)していきます。
中には、その数がもっと多いチームもあります。
そういう人達は、課題を与えると確実にそれをこなして、高い目標を与えても挑戦していきます。
そして、解らないことについては、質問もしてくれます。
結果的に、それらの人達は、自分自身の成長を自覚することになり、仕事は更に面白くなっていきます。
また一方、それを横目で見ていて、刺激を受けて、先行者の後を追いかけて、徐々に同じような行動をとれるようになっていく人もいます。
しかし、これらの人達は、全体の一部でしかありません。
チーム全体として、どう変化していくのか、残されたその他大勢の人達をどう導くのかが、チームリーダーの重要な責務なのです。
結果がなかなか出せないチームでは、そのリーダーが、リーダーとしての仕事をしていない場合が多くあります。
理由は様々ですが、先ず会社が、リーダーの仕事について、教えていないことがあります。
ここでいう、教えていないとは、コンサルティングや実践経験のある方のセミナー(社内も含む)や指導を、『計画的に受けさせる仕組み』がないということです。
例えば、部門のチーフとして、良い成績を出して、店長に抜擢されても、店長になって、同じように良い成績を残せるとは限りません。
それは、部門から店舗という物理的守備範囲の拡大もさることながら、部下の数が圧倒的に多くなることなど、部門のリーダーと店舗のリーダーとでは、仕事や業務の範囲が全く違ってくることです。
そして、店舗の長として、お客や地域の対応、そして、本部との関りなど、責務が伸し掛かってくることにもなります。
企業規模の大きな会社で、教育の仕組みが出来上がっているところは別として、中小零細の企業では、なかなかそのような仕組みがないことが現実でしょう。
「役職が人を育てる」言うこともありますが、当事者にとっては負担も大きく、会社にとっても、無駄な時間を使うことになりかねません。
そのためには、教育の機会を計画的に設けるということは、非常に重要なこととなります。
先述のクライアントのある部門は、長く続いていた業績低迷から、折角回復してきているのに、各リーダーは、ほとんど現場の改善活動のフォローをしていませんでした。
改善項目の進捗状況や実績数値の確認。解らないことに対しての質問など、遣るべきことは、はっきりしています。
そして、今回のように、目的が明確になっている時に、現場の担当者とリーダーが、目標に向かってともに行動する。そして、それをリーダーがフォローする。
まさに、チームとして行動するという、組織において非常に重要な行動。
それを、実行していなかったということは、余りにも勿体ないことです。
結果がうまく出せないリーダーの場合、「コンセプトや戦略、そして目的(目標)を、そして、その重要性を正しく理解していない」ということがあります。
結果的に、ここぞというときに、仕事の優先順位が付けられず、どうでも良いことに時間を消費してしまっているということが多いのです。
リーダーが、そうであれば、そのチームメンバーも、リーダーと同じ程度の行動をすることになり、全体としての生産性も改善は望めないことになってしまいます。
目的と目標を正しく理解して、それに対して現場のアイデアを出し合いながら、目標に向かって無駄なく進むことが、重要であり、それを正しく導くことが、リーダーの責務であるのです。
そして、中々うまくいかない現実の壁にぶち当たったときに、どう行動できるかも重要です。
当然、解らなかったら、誰かの力を借りることも、重要な行動(手段)であり、無駄な時間を費やさないという意味でも、とても効率的です。
言うまでもなく、リーダーは、現場を見る(見続ける)ことです。
現場を大して見ないで、終わったこと(過去)の実績数値だけを眺めていても、意味がありません。
現場におけるお客の不都合さ、従業員の動き、売場づくりと完成度など、リーダーには見るべき重要なポイントがあり、それぞれに対して、また時間軸の中で、優先度をつけて日々判断していく必要があります。
そして、常々現場の現実を確認し、その裏付けをとるために実績数値を診ることで、効果確認と改善課題設定を行います。
このことによって、改善効果を確実にして、成果を拡大させることに繋がります。
ですから、多くの場合、その内容と回数に比例して、業績も変化することになりますから、自分自身の立つ位置をはっきりとして、ルーチン作業に汗を流していてはいけません。
しかし、すべての改善活動が上手くいくとは限りません。
新米のリーダーは、失敗することも少なくないと思います。
しかし、ここは前向きに考える必要があります。
失敗した事実は、良い意味で、「こういう行動では、良い結果が出せない」ということを学んだことになります。
多くの行動を起こせば、徐々に「成功の確率」高くなります。
どちらにしても、行動無くして、何も学ぶことはできません。
いくら知識を蓄えても、実践しなければ、それ自体が無駄な行動であると言えます。
最後に、
私は、チームリーダーの仕事の中で、特に大きな責務が、部下を育てることだと思っています。
トップダウンでも仕事はできますが、
結局、同じ成果でも、個人個人が成長して、チームとして結果を成し遂げたことのほうが、時間の経過とともに、チーム力を付けることになり、会社の大きな資産となります。
そして、チームからリーダーがいなくなっても、チームで考え、行動する力を持つことになるのです。
これは、チーム・スポーツで考えれば簡単に分かります。
その意味でも、会社の評価制度に、『部下の教育と訓練』の項目と、その制度がどれくらい戦略的に埋め込まれているかは、非常に重要なこととなります。
もし、それが社内に無いのであれば、緊急ではないのですが、非常に重要課題であるのですから、少しでも早く制度づくりに着手して仕組みを作り、スタートを切ることを強くお奨めします。
念のために、ゼロから社内で作ることは、考えないほうが良いと思います。
現場を熟知した専門家に手伝ってもらうことが良いでしょう。
結果的に、無駄な時間を使わなくて済みますし、成果を早く受け取ることに繋がります。
今月、先述の会社のオーナーから報告がありましたが、粗利益額が前年対比110%を確認したという連絡が、私に届きました。
言うまでもなく、営業利益は大幅な伸びとなります。
確実に生産性は伸びてきます。
『リーダーの仕事』が、徐々に理解できて、少しずつチーム力がアップしてきているようです。
私のクライアントの事例です。
このクライアントのある部門は、営業利益改善を目的とした業務改善を行っています。
作業改善や在庫削減、売場改善と実践的マーケティングなど、業務改善の“ド定番”を実践してもらい4ケ月が経ちます。
売上は、まだ世間並の伸びですが、粗利益率が少しずつアップしてきて来ました。
そして、5ケ月目、大きな期待をして、実績数値が出るのを待っていました。
ところが、月々順調に伸びてきた粗利益と営業利益が、急にダウンしてしまったのです。
前年の実績に対しては、アップしていますが、期待していた数値とは、大きくかけ離れています。
その原因は、各チーフ、各バイヤーのこともあるのですが、一番の原因は、店長や商品部長といったリーダーの行動でした。
良い結果を出せるチームと、そうでないチーム。何が違うのか。
そして、何をすれば良いのか。
店長や商品部長などのリーダーが、遣るべき仕事を確実に行っているかで、業績に大きな差が出てきます。
多くの企業で、このことを正しく理解していない場合が多く見掛けます。
個人の成長とチームの成長
私のコンサルティングの経験から、10人の人がいれば、1人か2人は、新しいやり方を教えると、実践して、結果を出し、目覚ましく変化(成長)していきます。
中には、その数がもっと多いチームもあります。
そういう人達は、課題を与えると確実にそれをこなして、高い目標を与えても挑戦していきます。
そして、解らないことについては、質問もしてくれます。
結果的に、それらの人達は、自分自身の成長を自覚することになり、仕事は更に面白くなっていきます。
また一方、それを横目で見ていて、刺激を受けて、先行者の後を追いかけて、徐々に同じような行動をとれるようになっていく人もいます。
しかし、これらの人達は、全体の一部でしかありません。
チーム全体として、どう変化していくのか、残されたその他大勢の人達をどう導くのかが、チームリーダーの重要な責務なのです。
リーダーの仕事についての教育
結果がなかなか出せないチームでは、そのリーダーが、リーダーとしての仕事をしていない場合が多くあります。
理由は様々ですが、先ず会社が、リーダーの仕事について、教えていないことがあります。
ここでいう、教えていないとは、コンサルティングや実践経験のある方のセミナー(社内も含む)や指導を、『計画的に受けさせる仕組み』がないということです。
例えば、部門のチーフとして、良い成績を出して、店長に抜擢されても、店長になって、同じように良い成績を残せるとは限りません。
それは、部門から店舗という物理的守備範囲の拡大もさることながら、部下の数が圧倒的に多くなることなど、部門のリーダーと店舗のリーダーとでは、仕事や業務の範囲が全く違ってくることです。
そして、店舗の長として、お客や地域の対応、そして、本部との関りなど、責務が伸し掛かってくることにもなります。
企業規模の大きな会社で、教育の仕組みが出来上がっているところは別として、中小零細の企業では、なかなかそのような仕組みがないことが現実でしょう。
「役職が人を育てる」言うこともありますが、当事者にとっては負担も大きく、会社にとっても、無駄な時間を使うことになりかねません。
そのためには、教育の機会を計画的に設けるということは、非常に重要なこととなります。
結果を出せないリーダーの行動
先述のクライアントのある部門は、長く続いていた業績低迷から、折角回復してきているのに、各リーダーは、ほとんど現場の改善活動のフォローをしていませんでした。
改善項目の進捗状況や実績数値の確認。解らないことに対しての質問など、遣るべきことは、はっきりしています。
そして、今回のように、目的が明確になっている時に、現場の担当者とリーダーが、目標に向かってともに行動する。そして、それをリーダーがフォローする。
まさに、チームとして行動するという、組織において非常に重要な行動。
それを、実行していなかったということは、余りにも勿体ないことです。
結果がうまく出せないリーダーの場合、「コンセプトや戦略、そして目的(目標)を、そして、その重要性を正しく理解していない」ということがあります。
結果的に、ここぞというときに、仕事の優先順位が付けられず、どうでも良いことに時間を消費してしまっているということが多いのです。
リーダーが、そうであれば、そのチームメンバーも、リーダーと同じ程度の行動をすることになり、全体としての生産性も改善は望めないことになってしまいます。
目的と目標を正しく理解して、それに対して現場のアイデアを出し合いながら、目標に向かって無駄なく進むことが、重要であり、それを正しく導くことが、リーダーの責務であるのです。
そして、中々うまくいかない現実の壁にぶち当たったときに、どう行動できるかも重要です。
当然、解らなかったら、誰かの力を借りることも、重要な行動(手段)であり、無駄な時間を費やさないという意味でも、とても効率的です。
部下に結果を出させる、リーダーの行動
言うまでもなく、リーダーは、現場を見る(見続ける)ことです。
現場を大して見ないで、終わったこと(過去)の実績数値だけを眺めていても、意味がありません。
現場におけるお客の不都合さ、従業員の動き、売場づくりと完成度など、リーダーには見るべき重要なポイントがあり、それぞれに対して、また時間軸の中で、優先度をつけて日々判断していく必要があります。
そして、常々現場の現実を確認し、その裏付けをとるために実績数値を診ることで、効果確認と改善課題設定を行います。
このことによって、改善効果を確実にして、成果を拡大させることに繋がります。
ですから、多くの場合、その内容と回数に比例して、業績も変化することになりますから、自分自身の立つ位置をはっきりとして、ルーチン作業に汗を流していてはいけません。
良いプロセスが結果を生む
しかし、すべての改善活動が上手くいくとは限りません。
新米のリーダーは、失敗することも少なくないと思います。
しかし、ここは前向きに考える必要があります。
失敗した事実は、良い意味で、「こういう行動では、良い結果が出せない」ということを学んだことになります。
多くの行動を起こせば、徐々に「成功の確率」高くなります。
どちらにしても、行動無くして、何も学ぶことはできません。
いくら知識を蓄えても、実践しなければ、それ自体が無駄な行動であると言えます。
「自分の部下が育った」ということが、リーダーの『評価の仕組み』になっているか⁉
最後に、
私は、チームリーダーの仕事の中で、特に大きな責務が、部下を育てることだと思っています。
トップダウンでも仕事はできますが、
結局、同じ成果でも、個人個人が成長して、チームとして結果を成し遂げたことのほうが、時間の経過とともに、チーム力を付けることになり、会社の大きな資産となります。
そして、チームからリーダーがいなくなっても、チームで考え、行動する力を持つことになるのです。
これは、チーム・スポーツで考えれば簡単に分かります。
その意味でも、会社の評価制度に、『部下の教育と訓練』の項目と、その制度がどれくらい戦略的に埋め込まれているかは、非常に重要なこととなります。
もし、それが社内に無いのであれば、緊急ではないのですが、非常に重要課題であるのですから、少しでも早く制度づくりに着手して仕組みを作り、スタートを切ることを強くお奨めします。
念のために、ゼロから社内で作ることは、考えないほうが良いと思います。
現場を熟知した専門家に手伝ってもらうことが良いでしょう。
結果的に、無駄な時間を使わなくて済みますし、成果を早く受け取ることに繋がります。
今月、先述の会社のオーナーから報告がありましたが、粗利益額が前年対比110%を確認したという連絡が、私に届きました。
言うまでもなく、営業利益は大幅な伸びとなります。
確実に生産性は伸びてきます。
『リーダーの仕事』が、徐々に理解できて、少しずつチーム力がアップしてきているようです。