スーパーの業務改善入門
2017年10月28日
3ケ月で、500万円の営業利益アップ
記事のタイトルは、今月弊社のクライアントのある店舗の青果部門の話です。
3ケ月の業務改善のコンサルティングで、課題が解決されてきて、青果部門の粗利益が3%以上改善し、人件費も削減されていく見込みが付いてきました。
結果的に、この青果部門の1年間の営業利益は、500万円以上アップする見込みです。
この店舗は、競合店が出来、ここ1、2年売上が低迷しています。
スーパーマーケットにとって、青果部門、取り分け野菜は、支持率(買い上げ客数÷店舗客数)が最も高い部門です。
また、業態として、来店頻度を上げる上でも高くなければ困る部門とも言い換えられます。
青果部門の業績の良し悪しは、店舗の業績にも大きく影響します。
この店舗は、リージョナルチェーンの一店舗で、売り上げ規模からしたら小型店の位置づけになります。
最初の訪問時、店舗全体でも、グロサリーや青果部門を中心に在庫が多く、管理全般、科学的に運営されていませんでした。
昔ながらの効果を出せないやり方を、何の疑問も感じることなく、真面目に遣りつづけていたのです。
そして、額に入ることが、経営理念やコンセプトのゴールになっている場合が少なくありません。
因みに、この会社も素晴らしいコンセプトを掲げて、経営をしています。立派な会社です。
しかし、残念ながら、隅々まで理解共有されていないのが現実です。
青果部門の場合、全体的に在庫過多であり、お客が買ってくれている野菜が、決して高鮮度とは言えない状態でした。(素人目にはわかりません)
作業場の段取りだけが上手くなり、コンセプトで一番重要な『鮮度』が隅に追いやられていた状態だったのです。
大切なことは、技術よりも先に、このコンセプトの価値と意味を理解させること。
そして、それを実現するための無駄の少ない取るべき行動を、現場に教え続け『実行』させることが重要なのです。
生鮮部門の在庫が多いということは、お店で買って、使ってもらうお客のベネフィット(得)が低下することを意味します。
日々それらの野菜を使っていれば、
「どうも日持ちがしない」
「鮮度感を感じない」
というようなことを体験して、経験値が積み上がって行きます。
近くに、競合店が有れば、そこの野菜と使い比べれば、時間の経過とともにお客はその差を感じることになります。
気を付けなければならないことは、経営者や店長が、競合店の価格のことばかりに気を取られ、コンセプトを忘れた、間違った指示を現場に下すことです。
お客は、価格だけで商品を買うのでは無いのに、です。
見るからに新鮮で、みずみずしい野菜。しかも安全。
「これで、どんな料理を創ろうかしら?」
お客の心は弾みます。
少しぐらい高くても、家族のために美味しい料理を作って上げられるのであれば、お客は納得してお金を払ってくれるでしょう。
勿論、価格だけのお客がいることも事実です。でも、そこをターゲットにしていては、ビジネスの発展の可能性は低くなり、従業員の幸せにも繋がりにくいと言えるでしょう。
営業利益を上げる原資である粗利益を上げるためには、ここのところの理解をすることが重要となってきます。
「ここは鮮度が良い」とお客に言ってもらえる店になることです。
そして、
フォーカスすべきポイントは、
圧倒的な、地域でずば抜けた鮮度をお客に提供する仕組みを作ること、です。
簡単なことです。
新鮮な商品を仕入れて、適切に管理して、その日のうちにお客に買ってもらうことです。
今回の主な改善活動としては、
① POSデータの日々ベストレポート(数量順)を利用して、
単品別の販売量を日別曜日別に把握していく
② ①から、単品別の適正な発注量を設定して、仕入を行う
③ ①から、商品特性に合わせて、陳列量や加工量、仕置き(仕越し)量
をコントロールする
④ 過剰在庫は、早期に見切り販売を行う
⑤ POSデータの期間(2~3週程度)ベストレポート(金額順)や、
昨年の同時季のベストレポート(金額順)を利用して、売り上げ上位の
品目を理解して、マグネットで展開し売上高アップをはかる
という様な内容です。
数量管理、品質管理を強化して、お客に買っていただく野菜の鮮度を上げること。
そして、お客の支持の高い重点商品管理を徹底して行い、それらの販売量と金額を押し上げる。という内容です。
そうは行かないのが現場です。
担当者の「今まで遣っていることを変える」ことへの抵抗。
それと、店長や本部のリーダーシップの欠如です。
私は、「数量管理と早期見切りで、2~3%は、粗利益率はアップするよ」と最初に言ってありました。それは、長年の経験で、肌感覚でわかります。
3回目の実地指導日、青果部門のバックルームに入ると、パート社員がブロッコリーの袋詰めをしていました。
ところが、冷蔵庫の中を覗くと、同じようなブロッコリーが3日間に分けて、仕越し加工してあります。
更に、売場には、「これでもか」と満タンに陳列してあります。
私は、すぐに店長に指示して、「POSデータで、ブロッコリーの日々の販売履歴表をだして」と頼みました。
ここ1週間の日々の販売履歴実績を確認し、最大値と最低値を知らせました。
そして、店長や青果チーフ、その他の部門のチーフを集めて、
コンセプトの意味と取るべき行動を再度伝えて、リーダーとしての責任行動を取ることを促しました。
とは言え、3か月目に、チーフの行動が変わりました。
バックルーム在庫は激減し、売場の陳列量もほぼ適正に保たれています。
見切り量も大幅に減り、それに関わる処理作業量も大幅に減りました。
① 方法を知らないこと
② 担当者の心の内
などです。
改善方法だって、本人がやる気さえ起こせば、誰かが教えてくれるかもしれません。
また、「自分から進んで聞く」という行動を取るはずです。
限界を、知らず知らずのうちに勝手に自分で決めてしまっているのです。
非常に勿体ないことです。
在庫量が適正に管理されるようになった
作業は、簡単に早くなり、チームのメンバーも、お客のベネフィットを更に高くするための業務にウエイトを掛けられるようになります。
売上は、これらの行動を続けることによって、客単価を向上させ、顧客の来店頻度を増すことに繋がり、自然と向上することになります。
一度正しい行動を覚えれば、ほとんどの場合元には戻りません。
「自信が持てなかった自分」
「どうせこんなもんだと諦めていた自分」を、
「出来るんじゃないか・・・」と、
前を見て、挑戦する自分に変えることが出来るのです。
人生が変わるのです。
これは、私たちの業務改善のコンサルティングの目的の一つでも有ります。
3ケ月の業務改善のコンサルティングで、課題が解決されてきて、青果部門の粗利益が3%以上改善し、人件費も削減されていく見込みが付いてきました。
結果的に、この青果部門の1年間の営業利益は、500万円以上アップする見込みです。
この店舗は、競合店が出来、ここ1、2年売上が低迷しています。
スーパーマーケットにとって、青果部門、取り分け野菜は、支持率(買い上げ客数÷店舗客数)が最も高い部門です。
また、業態として、来店頻度を上げる上でも高くなければ困る部門とも言い換えられます。
青果部門の業績の良し悪しは、店舗の業績にも大きく影響します。
この店舗は、リージョナルチェーンの一店舗で、売り上げ規模からしたら小型店の位置づけになります。
最初の訪問時、店舗全体でも、グロサリーや青果部門を中心に在庫が多く、管理全般、科学的に運営されていませんでした。
昔ながらの効果を出せないやり方を、何の疑問も感じることなく、真面目に遣りつづけていたのです。
額に入った、お飾りのコンセプト
私は、会社の経営理念やコンセプトなど、訪問先の社長室や応接室、或いは会議室に立派な額縁に入れられて、壁に掛けられている光景を今まで多く見て来ました。そして、額に入ることが、経営理念やコンセプトのゴールになっている場合が少なくありません。
因みに、この会社も素晴らしいコンセプトを掲げて、経営をしています。立派な会社です。
しかし、残念ながら、隅々まで理解共有されていないのが現実です。
青果部門の場合、全体的に在庫過多であり、お客が買ってくれている野菜が、決して高鮮度とは言えない状態でした。(素人目にはわかりません)
作業場の段取りだけが上手くなり、コンセプトで一番重要な『鮮度』が隅に追いやられていた状態だったのです。
大切なことは、技術よりも先に、このコンセプトの価値と意味を理解させること。
そして、それを実現するための無駄の少ない取るべき行動を、現場に教え続け『実行』させることが重要なのです。
「お客は、何を喜ぶのか?」を正しく理解する
素人には分かりにくい鮮度低下した野菜。生鮮部門の在庫が多いということは、お店で買って、使ってもらうお客のベネフィット(得)が低下することを意味します。
日々それらの野菜を使っていれば、
「どうも日持ちがしない」
「鮮度感を感じない」
というようなことを体験して、経験値が積み上がって行きます。
近くに、競合店が有れば、そこの野菜と使い比べれば、時間の経過とともにお客はその差を感じることになります。
気を付けなければならないことは、経営者や店長が、競合店の価格のことばかりに気を取られ、コンセプトを忘れた、間違った指示を現場に下すことです。
お客は、価格だけで商品を買うのでは無いのに、です。
見るからに新鮮で、みずみずしい野菜。しかも安全。
「これで、どんな料理を創ろうかしら?」
お客の心は弾みます。
少しぐらい高くても、家族のために美味しい料理を作って上げられるのであれば、お客は納得してお金を払ってくれるでしょう。
勿論、価格だけのお客がいることも事実です。でも、そこをターゲットにしていては、ビジネスの発展の可能性は低くなり、従業員の幸せにも繋がりにくいと言えるでしょう。
営業利益を上げる原資である粗利益を上げるためには、ここのところの理解をすることが重要となってきます。
具体的改善行動
ゴールは、「ここは鮮度が良い」とお客に言ってもらえる店になることです。
そして、
フォーカスすべきポイントは、
圧倒的な、地域でずば抜けた鮮度をお客に提供する仕組みを作ること、です。
簡単なことです。
新鮮な商品を仕入れて、適切に管理して、その日のうちにお客に買ってもらうことです。
今回の主な改善活動としては、
① POSデータの日々ベストレポート(数量順)を利用して、
単品別の販売量を日別曜日別に把握していく
② ①から、単品別の適正な発注量を設定して、仕入を行う
③ ①から、商品特性に合わせて、陳列量や加工量、仕置き(仕越し)量
をコントロールする
④ 過剰在庫は、早期に見切り販売を行う
⑤ POSデータの期間(2~3週程度)ベストレポート(金額順)や、
昨年の同時季のベストレポート(金額順)を利用して、売り上げ上位の
品目を理解して、マグネットで展開し売上高アップをはかる
という様な内容です。
数量管理、品質管理を強化して、お客に買っていただく野菜の鮮度を上げること。
そして、お客の支持の高い重点商品管理を徹底して行い、それらの販売量と金額を押し上げる。という内容です。
行動すれば、結果はすぐに表れる
「行動すれば、結果はすぐに表れる」のですが、そうは行かないのが現場です。
担当者の「今まで遣っていることを変える」ことへの抵抗。
それと、店長や本部のリーダーシップの欠如です。
私は、「数量管理と早期見切りで、2~3%は、粗利益率はアップするよ」と最初に言ってありました。それは、長年の経験で、肌感覚でわかります。
3回目の実地指導日、青果部門のバックルームに入ると、パート社員がブロッコリーの袋詰めをしていました。
ところが、冷蔵庫の中を覗くと、同じようなブロッコリーが3日間に分けて、仕越し加工してあります。
更に、売場には、「これでもか」と満タンに陳列してあります。
私は、すぐに店長に指示して、「POSデータで、ブロッコリーの日々の販売履歴表をだして」と頼みました。
ここ1週間の日々の販売履歴実績を確認し、最大値と最低値を知らせました。
そして、店長や青果チーフ、その他の部門のチーフを集めて、
コンセプトの意味と取るべき行動を再度伝えて、リーダーとしての責任行動を取ることを促しました。
とは言え、3か月目に、チーフの行動が変わりました。
バックルーム在庫は激減し、売場の陳列量もほぼ適正に保たれています。
見切り量も大幅に減り、それに関わる処理作業量も大幅に減りました。
業績を低迷させているもの
今回ご紹介した事例のように、改善を妨げるものは、① 方法を知らないこと
② 担当者の心の内
などです。
改善方法だって、本人がやる気さえ起こせば、誰かが教えてくれるかもしれません。
また、「自分から進んで聞く」という行動を取るはずです。
限界を、知らず知らずのうちに勝手に自分で決めてしまっているのです。
非常に勿体ないことです。
在庫量が適正に管理されるようになった
人生が変わる
今回の改善によって、店長やチーフは、多くの経験をしましたし、行動を変えられたことによって、考え方にも変化が現れてきます。作業は、簡単に早くなり、チームのメンバーも、お客のベネフィットを更に高くするための業務にウエイトを掛けられるようになります。
売上は、これらの行動を続けることによって、客単価を向上させ、顧客の来店頻度を増すことに繋がり、自然と向上することになります。
一度正しい行動を覚えれば、ほとんどの場合元には戻りません。
「自信が持てなかった自分」
「どうせこんなもんだと諦めていた自分」を、
「出来るんじゃないか・・・」と、
前を見て、挑戦する自分に変えることが出来るのです。
人生が変わるのです。
これは、私たちの業務改善のコンサルティングの目的の一つでも有ります。